暁 〜小説投稿サイト〜
亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十三話 イゼルローン要塞攻略作戦
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
でかい。そして俺はそのでかい戦艦のサロンで椅子に座ってココアを飲んでいる。

一応作戦参謀なので本当は艦橋にいる必要があるのだろう。だが参謀は百人以上いる。いくらでかい戦艦の艦橋でも百人は収容できない。という事で参謀チームは二つに分かれている。ロボスのお気に入りが艦橋に、それ以外は会議室だ。

当然だが俺は会議室組みだ。会議室組みも二つに分かれている。仕事をして忙しくしている人間と暇な人間だ。もっとも暇な人間は二人しかいない。俺とヤンだ。サアヤは周囲から色々と便利屋的に使われているらしい。忙しくて良い事だ。

俺は一日の殆どをこのサロンで過ごす、ヤンは一応会議室で紅茶を飲みながら昼寝だ。ヤンは非常勤参謀と呼ばれているが俺は幽霊参謀らしい。ワイドボーンが言っていた。だからどうした、俺に仕事しろってか、冗談は止せ、大体ロボスが嫌がるだろう。

三日前だがロボスと廊下でばったり会った。腹を突き出し気味に歩いていたが、あれはメタボだな。お供にアンドリュー・フォーク中佐を連れていたが俺を見ると顔を露骨に顰めた。上等じゃないか、そっちがそう出るなら俺にも考えがある、必殺微笑返しで対応してやった。ザマーミロ、参ったか!

フォークがすれ違いザマに“仕事が無いと暇でしょう、羨ましい事です、ヴァレンシュタイン大佐”と言ってきた。仕事なんか有ったってお前らのためになんか働くか、このボケ。

“貴官は仕事をしないと給料を貰えないようですが私は仕事をしなくとも給料が貰えるんです。頑張ってください”と言ってやった。顔を引き攣らせていたな。ロボスが“中佐、行くぞ、我々は忙しいのだ”なんて言ってたが、忙しくしていれば要塞を落とせるわけでもないだろう。無駄な努力だ。

余程に頭に来ていたらしい、早速嫌がらせの報復が来た。クッキーを作るのは禁止だそうだ。“軍人はその職務に誇りを持つべし”、その職務って何だ? 人殺しか? 誇りを持て? 馬鹿じゃないのか、と言うより馬鹿なんだろう、こいつらは。

「ヴァレンシュタイン大佐、座ってもいいか」
俺に声をかける奴が居る、ワイドボーンだ。こいつ、どういうわけか俺を構うんだよな。原作だとエリートを鼻にかけたような奴に見えるんだが、そういうわけでもないらしい。

なんか一生懸命俺とヤンの間を取り持とうとしている。でもなあ、ヤンもサアヤも変に俺を意識している様子が見えるしやり辛いんだよ。俺がサロンに居座っているのもその所為なんだ。

ワイドボーンは一人じゃなかった。隣に初老の紳士が居る。まあ見なかった事にしておこう。俺が無言でいると二人は顔を見合わせて苦笑した。ワイドボーンが連れに椅子を進め自分も座る。相変わらず空気が読めない男だ、座るのかよ……。

「ヴァレンシュタイン、参謀長に挨拶くらいしたらどうだ」
「眼の
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ