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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第84話:懐に飛び込まれた方が防御はしにくいものだ
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ん、それは分かってる。でもさぁ……あの二人の為だけに、有能な兵士が地下牢の番をしてるんだよ。勿体なくね?」
「有能と仰って戴けるのは光栄ですが、基本的に牢番は新人を配属する事にしております。数人がローテーションで牢番をし、1年経過したら更なる新人に任務を託す……」

「なるほど……でもさぁ、昨日の牢番は姿勢もキレイで兵士の鏡って感じの素晴らしい奴だったんだよね。あんな良い若手兵士が居るなんて、牢屋に行かなきゃ知る事がなかった……もっと正面入り口とかで来城する人々に見せてやりたい人材だったね。受け答えもハキハキしてたし、言葉遣いも丁寧でさ!」

「そ、そうですか……ウルフ閣下が褒めてたと伝えておきます」
「いや……それよりも、あそこで使う人員を別の場所で使いたいと思ってるんだ」
確かに牢番に当ててる兵士は10人ほど居るが、それを別に移動させる事が出来れば色々と助かる面も出てくる。

「しかし牢番を無くすなんて事は……」
そうだ……牢番を無くす訳にはいかない。
罪人を見張らないなんて問題あるだろう。

「いや考えてよ……元々グランバニア城は1階と地下1階を国民の生活スペースに当ててた訳で、地下牢は更に地下に存在するじゃん。そこから穴掘って逃げ出すのって難しい事だし、地下牢からの唯一の出入り口前には、正に正面入り口を警備する兵士が在中してる訳だよ。この正面入り口の兵士だけで警備の手は十分じゃないかな? だって地下牢から誰か不審な者が出てきたら、その兵士が気付くでしょ。少なくとも今後は気を向けるように指示しておけば、気付かない事なんて無いと思うんだよね。もし心配なのであれば牢番経験者を正面警備の兵に抜擢して、正面も地下牢側も気にするように教育していけば良い訳だしさ……あとは朝・昼・晩と食事を届ける者だけが居れば、日の目を浴びない地下牢の番なんて必要無いと思うんだ」

一体何なんだ……この捲し立てるように番兵不要を解いてくるウルフ閣下は!?
確かに閣下の言う通り、あの牢屋からの脱獄は正面入り口を使わないと不可能だろう。
それに人員が10人も浮くなんて事は、現状では夢のような出来事だ。

「か、閣下の仰る事は尤もだと思います」
「でしょ! もう明日からさ、牢番を無くして有益な場所に配置変えしようよ」
確かにその通りだ。アイツ等は新人とは言え、やる気に満ち溢れた者達なのだし、意味の無い場所で熱意を削ぎ落とすのは勿体ない。

「では閣下……早速明日から配置変えしたいと思います」
「あぁ良かった……解ってくれて。じゃぁリュカさんには俺から報告しておくから、ピピン大臣は配置変えの手配の方をお願いするね。丁度別の報告もあったからさ……」
それ助かるぅ……俺は口下手だからウルフ閣下の言いたい事の半分も陛下に伝えられない恐れがあるから
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