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剣聖がダンジョンに挑むのは間違っているだろうか
第9話(白兎side):決着編
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し終えると、シルバーバックへと視線を向けた。本来なら神の眷属になって半月の冒険者じゃ太刀打ちもできない10層以降のモンスターが、今の僕には1層にいるゴブリンやコボルトと同じ存在に見える。

僕がそんなことを考えていると、シルバーバックは僕の視線から何かを感じ取ったのか、飛び起きると同時に一直線に僕の所に向かって来た。

そして、手首に嵌められていた手枷の鎖を使って僕に攻撃を仕掛けてきた。けど、僕はその場から動くことなく『斬月』を振り上げ、その攻撃を受けた。

そう。僕は鎖による攻撃を『斬月』で受け止める、もしくは弾くつもりで振り上げたんだ。けど、実際は受け止めることも弾くこともなかった。

僕に振り降ろされた鎖は『斬月』の刀身に打撃による衝撃を与えることなく、まるで熱したナイフでバターを切る様に簡単に断ち斬れたんだ。その余りの切れ味に僕だけでなく神様やシルバーバックも驚いている。

余りの驚きに少しばかり体が硬直してしまったけど、すぐに思考を再起動させた僕はシルバーバックの胴へと横一閃の一撃を放つ。

しかし、シルバーバックも僕とほぼ同時に思考を再起動させていた様で、僕の一撃に対してアクロバティックな動きで後方へと飛び移り、回避した。

僕から15m離れた位置に着地したシルバーバックは、僕の攻撃を完全に避けきれなかったのか、胴から少しばかり血が流れている。

これでシルバーバックが僕に脅威を感じて逃げてくれれば、僕と神様にとっては嬉しかったんだけど、現実は常に自分の思い通りには進まない。

シルバーバックは15mという距離を維持したまま、僕のことを観察している。僕の手持ち武器が近接系の短剣――『水魔の短剣』と大剣――『斬月』だけだから、15mも離れていれば殺られないと考えているんだろう。


「……けど、現実はそんなに甘くない。人間(ヒューマン)であろうと、怪物(モンスター)であろうと」


僕はそう口にすると同時に、全速力でシルバーバックへと駆け出し、15mの間合いを詰める。


「!!?」


シルバーバックは僕のスピードに驚きながらも、僕の間合いの外へと出ようとする。けど、それより早く僕は斬月による袈裟斬りを放つ。

その一閃でシルバーバックの左腕が断ち斬られ、鮮血と共に腕が宙を舞うけど、シルバーバックはまだ倒れずにいた。

本来ならこの一撃でシルバーバックの魔石を両断するつもりだったんだけど、シルバーバックが左腕を犠牲にして『斬月』による攻撃を防いだことで、斬月の刃は魔石まで届かなかったんだ。

そう理解した僕は即座に返す刃で左斬上げを放つ。が、それと同時にシルバーバックは初撃の時と同じくアクロバティックな動きで後方へと飛び移った。


(このままだと同じことの繰り返し
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