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第八十二話 要塞対要塞です(その2)
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護衛艦は分厚い流体金属層を遮二無二突き進み、分厚い雲のようなそれを突き抜けていく。と、彼らの目の前にはイゼルローン要塞の軍港と寸分たがわぬ景色が飛び込んでくる。それに見とれている余裕はなかった。内部で待ち構えていた敵の砲台や小型艦船の砲撃によって、は虫のように撃ち落とされていく。
 それでも、ロイエンタール艦隊とミッターマイヤー艦隊とが放った揚陸艦のうち、300余隻がそれぞれの地点に接舷し、合計4万人の装甲擲弾兵が上陸を果たした。ロイエンタール、ミッターマイヤーも護衛艦隊に守られながらそれぞれの旗艦を要塞内部に突入せしめた。双方の迎撃側が全力を挙げてこれを阻んだが、あちこちに展開していた機動部隊の攻撃を受けて、的確な攻撃ができず、まんまとすり抜けられてしまったのである。
『突入!!』
両将は同時に叫び、旗艦を一気に降下させた。対空砲火が容赦なく降り注ぐが、降下する艦艇群はそれに倍する応射を繰り返し、なおかつワルキューレを発艦させて制空権を確保しようとした。これに対抗してスパルタニアンも出撃し、広いとは言えない要塞内部上空ではすさまじい空中戦が繰り広げられていた。本来スパルタニアンもワルキューレも宇宙における近接戦闘用として使用するのであるが、実は同名での大気圏戦闘用の機種も存在する。今回はそれらが攻撃側・迎撃側としてそれぞれ飛び立っていったのだった。
「今だ!全艦隊、要塞内部に突入!上空から敵艦隊に向けて攻撃を仕掛けろ。」
ヤンが第十七艦隊を一か所に集め、ロイエンタールが降下した地点に続いて突入した。


ここで――。

 本来自由惑星同盟の艦隊は大気圏突入できるようには設計されていない。だが、要塞を建造したことで、要塞駐留艦隊の存在は不可欠になるため、要塞における大気圏突入が可能なように第十三、第十六、第十七艦隊は改造設計されていたのである。



 これを阻止しようとした機動部隊群は新たに出現した部隊の横撃を受けて足が止まる。アッテンボロー率いる別働部隊だった。ヤンはひそかに一部隊を要塞死角に後置しており、突入のタイミングを見計らって、存分に攻撃させたのである。ヤン・ウェンリーはこの作戦をウィトゲンシュティン中将に具申しており、第十六艦隊及び第十三艦隊のファーレンハイト艦隊も同じ手を打っていた。
 したがって、ロイエンタール艦隊もミッターマイヤー艦隊も上空から降り注いできた敵の攻撃に次々と艦を撃破され、一転して苦戦にあえいだのである。
「これは想定内だ。ここで耐えきれなくば、要塞に肉薄した意味がない。」
ロイエンタールはなおも攻撃を続行するべく指令したが、ディッタースドルフ少将が止めた。
「駄目です。護衛艦隊の損傷は著しく、このままでは本艦も攻撃を受けます。」
「要塞内部の様子はどうだ?」
ロイエンタールの眼前に映
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