暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第245話 ボスを倒したいU
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の凶悪な腕がユウキを捕らえる場面が はっきりと予測出来たのだ。ユウキの攻撃は最小限度に押し留め、残った2つの腕で攻撃に転じる。
 最悪の一手だ。間違いなく ユウキの耐久力だったら、粉微塵になって吹き飛んでしまうだろう。

 だけど、最も近くにいるランは 宙にいて落下中であり、アスナは届かない。ユウキを助ける事が出来る場所へ誰も辿りつく事が出来ないのだ。

 そして、ユウキはスキルの発動が完全に終わって硬直時間が解けるまで 別の動きをする事は出来ない。



「ぁ……、これは まずいかも………」



 思わずそう呟いてしまう。
 一瞬と言っていい時の流れの筈なのに……気の遠くなる様に長く感じてしまうのは、まるで走馬燈の様だった。これを感じてしまうという事はどういう事なのか。ユウキ自身にもよく判っていた。極限状態でのボス攻略は何度もした事があるから。

「(くっそー……、せっかくアスナが弱点を教えてくれに来てくれたのに……。ボクがやられちゃって 皆は大丈夫かなぁ……? 姉ちゃんにも心配かけちゃうし……。もうちょっと落ち着いて考えてみればよかったのかなぁ……。あ、でも 姉ちゃんだって了解してたんだし、仕様がない、かな? ……でも 悔しいなぁ)」

 一瞬が何時間にも感じる事が出来る。
 巨人の攻撃が迫ってくるのがよく判るのに、考える事が出来ていた。
 それでも、完全に時間が止まっている、と言う訳ではない。……必ず訪れる。

 最後に、ユウキが強く感じていたのは やっぱり悔しいという気持ちだった。

 頑張ったのに、次こそは、と頑張り続けていたのに、と。

 
 最後の瞬間。その巨腕が迫ってきたその瞬間 ユウキは目を閉じてしまった。

 それは 無理はないというものだ。如何に類を見ない程の力を持ったユウキとはいえ 彼女はまだまだ幼さが残る少女なのだから。

 そして、その巨腕がユウキの華奢な体に触れるその刹那だった。




――待たせたな。




 声が、聞こえた気がした。
 気のせいだったかもしれない。だけど、確かに耳に届いた。

 その次の瞬間、どかっ! と何かにぶつかった様な衝撃と 同時に力強くだき抱えられた感触に見舞われた。

 力強く抱かかえてくれる。一瞬だというのに……とても暖かい気持ちになる事が出来た。
 もう、随分昔に感じてしまうけど―――。

 それは 大好きなママやパパが抱いてくれた時の様な……暖かい感触。

 それに似ていた。
 永遠に感じ続けたい、とユウキは思っていたが 流石にそうはいかない様で。いつまでも衝撃が来ない事もあってゆっくりと目を開いた。

 抱きかかえてくれたのは……。



「待たせたな。ユウキ、それに皆」
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