189部分:光を奪われてその二
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光を奪われてその二
「出て来い!」
パーンが懐から短刀を取り出した。そしてそれを右斜め上の民家の屋根の上へ投げた。屋根から喉に短刀が突き刺さった黒服の男が落ちて来る。
右の小路から影が飛び出ようとしたその時だった。右へ跳んでいたリフィスが腰から剣を抜きその影を横に払った。
ティナの放ったウィンドが前から来る刺客を撃ちトルードが上から襲い掛かる二人の敵を斬り捨てた。セイラムが最後の一人を至近からのフェンリルで倒すともう戦闘は終わっていた。
「あれだけ殺意を撒き散らしていればな。嫌でもわかるさ」
パーンが地に伏す刺客達を見下ろしつつ言った。
「だが他の者達の所にも行っているだろう。すぐに知らせよう」
「ああ、まずは・・・・・・」
トルードの言葉にセイラムが何か言おうとした時商店街の方から騒ぎが聞こえて来た。
「やっぱりな!」
リフィスが舌打ちして騒ぎの方へ駆けて行く。四人がそれに続く。
市街で刺客達と解放軍の将達が激しい戦いを行なう少し前セリスはオイフェと共に城内の廊下を歩いていた。
「どうやら殆ど遊びに行ったみたいだね」
「全く。どうせ闘技場か酒場かで出店でしょう。またなにやら騒動を起こさねば良いのですが・・・・・・」
「大丈夫だろう、オイフェは心配し過ぎだよ」
「ですかね。だからノィッシュ達に老けたと言われるのでしょう」
珍しく子供っぽく微笑んだ。
「そうそう。たまには外に出て息抜きをして来たらどうだい?外でユリアと待ち合わせをしているんだろう」
「えっ、ええまあ」
オイフェはセリスのその言葉に頬を少し赤らめた。他の解放軍の面々ならば怒濤の突っ込みを入れるところであるがそこはすれていなく恋愛にも疎いセリスなので助かった。
「じゃあすぐに行った方がいい。僕はここで休んでいるよ」
「で、では御言葉に甘えて」
前から三人のシスターが来る。それを見たオイフェはセリスに何やら目配せした。
セリスもそれはわかっていた。無言で頷く。
擦れ違う。シスター達は二人に道をあけ最敬礼をする。二人は手でそれに応える。
敬礼を終えシスター達は向き直り歩いて行く。だが咄嗟に振り向いた。
セリスとオイフェは既に向き直っていた。シスター達が魔法を放って来たがそれを低い姿勢で駆けながらかわした。
二人が下から上へ剣を一閃させる。左右の二人が倒れる。最後の一人は背を向け逃走した。
「逃がすか!」
オイフェが追う。当然セリスも続く。シスターは僧侶とは思えない速さで逃げる。左に曲がり城内の礼拝堂に入る。
そこはブラギ神の礼拝堂であった。ブラギの紋章が掲げられ竜の像や供物がある。窓は赤や青、緑で彩られたステンドガラスである。
「何奴!?」
礼拝堂にはハンニバルとコープル、シャルロー親子がいた
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