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Fate/Flood myth
第二話『幽玄の奏者』
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す。しっかりと兆仕の怪我の具合を把握しつつ歩幅を調整している辺り根は親切なのだろうが、素直ではないらしい。

 ……魔術師は嫌いだ。聖杯戦争など、なんて無意味な闘争なのだろう。そう思っていた。

 しかし今は、この聖杯戦争を組み上げた始まりの御三家に感謝せねばならない。お陰で――


 ――お前達を皆殺しにする希望が見えた。


 ニィと、バーサーカーの口元に笑みが浮かんだのを、視界の端で捉えた気がした。











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「……窮屈なものだな、なんだこの奇妙な衣装は」

「仕方ないだろうが。僕が一人では動けない以上、お前に物理的に支えてもらうしか無いんだし、あの服だと目立ち過ぎる」

「世界がこれほど面倒になっていようとは……」

「尻尾は隠せるとはいえ、その髪でただでさえ目立つんだ。それぐらい我慢してくれ」

 松葉杖を片手にバーサーカーに支えられ辿り着いたのは、伏見稲荷神社の大鳥居。数多の参拝客が行き来するその表参道の中心を歩くバーサーカーは、普段の着物姿ではなく、白いシャツの上からモッズコートを羽織っている。本来ならジーンズでも履かせるつもりだったのだが、『動き難くてかなわんわ!』とお叱りを受けた事により、妥協してホットパンツにした。
 冬も進んだこの時期にホットパンツなど見ているこちらが寒いほどだと言うのに、当のバーサーカーは全く気にした様子もない。サーヴァントなのだから当然かもしれないが、それでも兆仕としては少しばかり腑に落ちない。

 真っ白な息を吐きながら、冷たい風の流れる参道を登っていく。階段を登り、楼門を抜け、外拝殿を迂回し、本殿へと。

 ――近付こうとした所で、不意にバーサーカーが足を止めた。

「サーヴァント避けの結界か。……我が同行出来るのは此処までだ、その足でもこの程度の距離ならば辿り着けるだろう」

「サーヴァント避けの結界……?面倒なものを……」

「此処は、聖杯戦争を放棄した者のための中立地帯の役割もある。サーヴァントを寄せ付けぬよう結界を張るのも道理だ」

「……そうかよ。じゃあ、行ってくる」

 バーサーカーが離れ、松葉杖で自身の体重を支える。よろよろとした足取りながらもなんとか歩行と言えるであろうものを成立させ、本殿に登り、案内を待つ。
 手順は、魔術教会から送られてきた手紙通りに。

 本殿では参拝せず、真正面に立って魔力を発する。すると幻覚の魔術に一時的な綻びが生じ、隠されていた扉を同封の鍵によって解錠、中に入る。後は道に従って進むのみだ、そのまま歩いていれば神社の地下に相当する場所に辿り着き、その最奥である部屋に、監督役
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