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フロンティアを駆け抜けて
5VS6!ZワザVSメガシンカ(3)
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涙を止めたジェムは瞳を閉じて黙考する。自分が母親にどう思われていたのかを。でも、いくら考えても幼いジェムには、母親の言葉から答えは出せない。今までずっと夢を見ていた相手の真意など、わかろうはずもない。それでも、考え続けて。

「……決めたよ」

 ジェムは自らのオッドアイを開く。その瞳は絶望に染まっていない。ただ輝かしいだけの幻想を見てもいない。その瞳はメガシンカしたクチートとヤミラミ、そして自分の手持ちポケモンに向けられていた。

「私には、お母様やお父様が本当はどんな気持ちで私を見てたのかはわからない。きっとさっき見た記憶以外にもいっぱい悩んだことがあって、それはまだ私には理解できないことも、たくさんあるんだと思う」

 自分が母親のお腹の中にいた時のあの気持ち悪さも、母親の苦しみを知ってなおみんなを笑顔にすることを優先する父親の気持ちも、わからない。

「それでも、お母様もお父様も自分の大事なポケモンを私に渡してくれた。渡されたポケモン達は、私のこといつもそばで大事にしてくれた。それは誰がなんと言おうと本当のこと、だから私はこんなに優しい仲間たちを渡してくれたお母様とお父様を信じる! 二人の心がわからなくても、この子たちとの絆を信じる!」

 ジェムの宣言する。これが自分の答えだと。

「まだこれから何を目標にすればいいかはわからない。でも私はこの子たちと一緒にバトルはしていたい。だから私は……あなたを倒すわ、シンボルハンター!本当の勝負はここからよ!」
「ジェム……」
「ジャックさんはここで見ててね。私だけで……いえ、私のポケモン達で勝つわ!」

 ジャックは安心したような表情を浮かべる。シンボルハンターはしばらく唖然としたように黙っていた。しかし数秒後、墓場中に響く声で笑い始める。

「ク、クククク……ハッハッハ! 流石に驚いたよ。だがそうでなきゃ俺も、ぶっ潰しがいがねぇ!!」
「行くよクー、ミラ! 私たちの絆を見せてあげよう!」

 メガクチートとメガヤミラミを信頼の目で見る。体はところどころが黒く染まっていたが、それでもまた戦えると二体とも元気よく頷いてくれた。メガシンカの力は失われていない。

「ほう、だがそいつらは俺のZ技を受けて既にボロボロ。どこまでやれるか見せてもらおうか! やれダダリン、『アンカーショット』!」
「クー、『噛み砕く』!」

 ダダリンが体ごと回転した後、ジャラジャラと音をたてて錨を飛ばしてくる。それをメガクチートは二つの大顎で真正面から受け止めた。お互いの力は拮抗しているが、体の小さなクチートの方が押されていく。

「残念だったな、ご自慢のメガシンカもダダリンの鋼は砕けないようだぜ?」
「みたいね。でもその必要はないわ」

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