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もう一人の八神
新暦79年
覇王襲来
memory:29 想い
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な」

「あの一撃が入る前も結構な量のダメージが溜まってたんだし、逆にその程度で済んでよかったんじゃないのか?」

「……お前の場合はホント容赦ないからな」

「失礼な。ライを認めてるからある程度本気でやってるんだ。それとも何か? 本気ではなく遊びの中でやれと? それにお前だって俺が本気じゃないだろうに」

図星のようで「うぐっ……」と押し黙るライ。

「そ、それよりもだ!」

「……話変えやがった」

私の言葉をスルーして尚も続ける。

「例の物はどうなってんだ?」

そんなライに呆れながらもソファーから腰を上げる。

「心配するな。学校で言った通りアレならちゃんと用意できてる。部屋から持ってくるからちょっと待ってろ」

部屋へと入り机の上にある茶封筒を手に取る。
中身は不明でライに渡すように頼まれたもの。

「ライ、これでよかったのか?」

受け取ると軽く目を通して中身を確認するライに首を捻る。

文字やグラフが見えるから何かの資料か?
それにしてもなんで姉さんがライにこんなものを?

「……ああ。頼んでたやつに間違いない。ありがとな」

「別に。姉さんから預かってただけだし。……ところでなんなんだそれ?」

「身体強化魔法についての資料。この前リンちっちに身体強化魔法について詳しくかつ分かりやすい資料があるかどうか聞いてみたんだ」

「身体強化魔法ね……」

「その時口頭で教えてくれたりリトにデータ送ってくれたんだが、後日わかりやすくまとめたやつをくれると言ってくれて」

「で、それが今言ってたやつか。それにしても急に身体強化魔法なんてどうしたんだ?」

「あー…その、なんだ。特に理由ないんだが……」

何を言いにくそうにしてるんだ?

あさっての方向にそっぽ向いて頬を掻く。
疚しいことでもあるのかと思って見るが、その顔から読み取れるのはそんなものではなく恥ずかしさだろうか?

「まあいいや、深くは聞かない。……後々わかる気がするし」

そう結論付けてライに聞き出すことをあきらめた。



夕方になるとライは自宅へと帰り、それと入れ違いになるように道場の練習からイクスたちが帰ってきた。

「ただいま帰りました」

「お帰りイクス、ザフィーラ。あれ? ところでヴィータは?」

「ミウラのランニングに付き合うそうだ。しばらく帰ってこんだろ」

「ん、りょーかい」

それからしばらくして夕飯の準備に取り掛かる。

手元の野菜をリズム良く軽快に切っているとイクスがやってきた。
しかしその顔はいつもと違い元気がなかった。

「どうしたのイクス」

「あ、え? あれ? 悠莉?」
 
どうやら無意識でここまで来たらし
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