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第七十五話 捕虜交換式典です。
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か教育官を招いてもいたのである。アレーナはいずれ帝国の主だった会社については悉くそうした処置を取って、近代化を進める意向であった。

 専制政治における会社と民主政治における会社とではその名前は同じであっても体質などは全く異なるのである。前者は保守的であり、後者は投機的かつ冒険的な性格を持つ。

 ともあれそれはまだまだ先の話であった。

 この時期大将となっていたフィオーナは専用の旗艦を与えられている。艦の名前をヘルヴォールという。ブリュンヒルト級の次世代艦の一隻として淡い水色でコーティングされた艦である。透き通るような空の色を見たフィオーナは一目見てこの艦を好きになった。だが、ティアナはこの艦の名前を聞いた瞬間に大笑いした。

「ヘルヴォールってあっちの同盟語だと『地獄の壁』っていう意味でしょ!?フィオに似合わない事この上ない名前じゃないの!!じ、地獄の壁――。」
その後には澄んだ笑い声が部屋の光度を100ルクスばかり跳ね上げた。部屋の隅でバッタになってお腹をよじって笑っている親友を見ると、さすがに憮然として立っているほかなかった。
「古代神話では『盾持つ乙女』の名前から来たものだそうですよ。私はフィオーナさんによく似合っている艦名だと思います。」
と、レイン・フェリルが言ってくれたので、フィオーナはそれ以上顔を赤らめずに済んだ。もっとも、ウィーザルとかバレンダウンとかトリスタンとかベイオウルフだとかアースグリムだとかそう言った名前が良かったと思うところもまだあったのも事実だったが。

 その「地獄の壁」または「盾を持つ乙女」という相反する意味合いを持つ捕虜交換遠征艦隊総旗艦は護衛艦たちに守られ、重厚な艦列の中にあってブリュンヒルト並の通信システムをフル稼働して輸送艦らの艦列を動かし続けていた。
 300万の帝国軍と300万の同盟軍を交換するということは、単純な計算においても2個艦隊約3万隻の将兵を構成することとなる。むろん捕虜を交換するのは輸送艦などが用いられるから、艦艇の数はもう少し小さくはなるのだが、それでも万単位の艦隊を用意しなくてはならないという事で、この作業は困難を極めた。しかも、交換後には臨検が待っているのだ。

 そこで、事前にフィオーナはフェザーンを通じて自由惑星同盟に対してこんな提案を送っている。
「回廊内部は狭く、とても大艦隊が交差することはできません。かといって交通整理もままならないことはお分かりだと思います。そこで、構成員を1万人ずつに区切り、全部で300の班を作ります。交換は60班ずつを5日間にわたって行うことにいたしましょう。私たちは惑星フェザーンの銀河基準面南極方向から、自由惑星同盟の方々は銀河基準面北極方向から、それぞれ一方通行で輸送艦を航行させます。輸送艦の航行については互いの捕虜の方
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