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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第七十四話 捕虜交換式典に行ってきます!
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には特別の意味があることをほどなくして二人は知ることになるのである。
「家ですか?」
アルフレートが数瞬の後、意外な面持ちで繰り返した。
「家っていうのは、私たちが拠り所となる場所よ。それは、帝国からの亡命者で構成されている私たち軍属だけのものじゃないわ。私はね・・・・。」
一瞬ウィトゲンシュティン中将は遠い目をしていた。
「初めて第十三艦隊の司令官になった時、前任者もいなかったけれど、帝国出身の先輩方から繰り返し言われたことがあるの。『お前はウィトゲンシュティン家だけを背負っているんじゃない。帝国からの亡命者その全部の希望を背負っているんだ。』ってね。」
「大変なプレッシャーですね。」
ウィトゲンシュティン中将の背後にある見えない無数のオーラを感じ取ったのか、カロリーネ皇女殿下には、その感想を出すのが精一杯だった。
「大変なプレッシャーよ。でも、それを単なるプレッシャーとして見ることがなくなったのは、ようやく最近の事なの。」
「・・・・・・・?」
「二人とももっとこの国の現状を調べてみなさい。そうすれば、私の言ったことが理解できると思うわ。」
顔を見合わせた二人は、少し気まずい思いを味わった。生きていくのに精いっぱいで他人を思うゆとりなどなかったからである。これを機会に自由惑星同盟の事をもっと調べてみてもよいのかもしれない。今二人がいるところは紛れもない『現実世界』であって、本を通して感じ取る世界ではないのだから。
「閣下はなぜそこまで帝国領内侵攻にこだわるのですか?」
カロリーネ皇女殿下が最初の話題に戻した。あぁ、その話ね、とウィトゲンシュティン中将は今後は苦笑交じりにホワイト・レディーのグラスを少し傾けた。その純白の液体を通じて彼女は数千光年かなたを見やる目をしながら、
「私もまた皇族の血を引く一人だからよ。今の帝国はガタガタだわ。いえ、体制という問題を言っているのではないの。」
転生者二人が不思議そうな顔をしたので、ウィトゲンシュティン中将は言葉を継いだ。
「血の問題なのよ。いくら体が表面上問題がなくとも、根幹となる血が濁ってしまえば、いずれ体組織も崩壊するわ。もうゴールデンバウム王朝本家はどうしようもない。分家である私たちが帝国に返り咲き、本家の悪い血とその取まきを一掃して新生な帝国を作り上げる必要があるわ。」
「私たち?」
ウィトゲンシュティン中将の眼が細まった。心なしか目はカロリーネ皇女殿下の方を向いているようである。
「私たち一門よ。」
それ以上この話題についての話は出ず、後は世間話や雑談で終始したのだが、ウィトゲンシュティン中将が最後に言った言葉、その意味をカロリーネ皇女殿下はバーを出てからもずっと考え続けていたのだった。

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