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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百三十一話 捕虜交換(その2)
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お互い様か……。

同盟は意外に政府と軍部の連携が良いようだ。前からそうじゃないかと思える節があったが今回の件でそれがはっきりした。おまけにヤンがトリューニヒトを庇った。最初は何の冗談かと思ったがヤンの言う事が正しければトリューニヒトは主戦派から離れている。つまりトリューニヒトには主戦派以外に頼りになる味方が居ると言う事だ。ヤンを始めとする現在の軍上層部がそれだろう。厄介な話だ。

フェザーン成立にはやはり同盟が関与していたか……。しかも同盟側にその証拠があった……。残念なのは地球の関与が確認できなかった事だ。まあそう簡単に分かる事ではない。とりあえず同盟がこちらの話に乗ってきたことだけで良しとすべきだろう。地球の関与の証拠が見つかれば同盟の協力は難しくない。

地球に人を派遣するようにアンスバッハに頼むか……。あまりやりたくないんだよな。洗脳とかサイオキシン麻薬とか訳のわからんことをやってるし……。下手するとミイラ取りがミイラになりかねない。少し考える必要があるだろう。

地球教徒にサイオキシン麻薬の常習者が居ないだろうか、そこから教団内部への強制捜査に持っていく。表向きはあくまでテロ容疑ではなく薬物への捜査だ。サイオキシン麻薬の根絶は以前にも帝国は厳しくやっている。地球教に疑いが有るとなれば強制捜査はおかしな話じゃない。アンスバッハとフェルナーに相談してみよう。

ヤンはどう考えたかな、俺の言った事を。民主主義を第一に考えるか、それとも平和を第一に考えるか……。俺にしてみれば民主主義にあれだけ拘るヤンがどうにも理解できないがヤンにとっては難しい問題かもしれない。主義主張なんて生きるための方便、そう割り切れればヤンも生きるのが楽なんだろが……。

会ってみて良かった。思った通りの人物だった。軍人には見えないし、穏やかで聡明で好感が持てる人物だ。苛めるつもりは無かったんだが、向こうはそうは取らなかったかもしれない。彼とは戦いたくないな、強敵だからとかじゃなく戦争はしたくない。なんかそう思わせる相手だ。

これから辺境星域の視察に向かわねばならん、特に貴族の私有地がどうなっているかを確認しなければ……。面倒ではあるがリヒターやブラッケに頼まれているし、リヒテンラーデ侯も辺境星域には関心を持っている。オーディンに着くのは二月の中旬から下旬になるだろう。ユスティーナは寂しい思いをしているだろうが、戻れば結婚式だ。爺様連中がまた張り切るだろうし艦隊司令官達も張り切るだろう、やれやれだ。

さてと、メックリンガーに例の件を話さなければならん。驚くだろうな、容易には信じないだろうがオーディンまでは一月以上ある。考える時間は十分に有るだろう。口止めも要るな、まあ口止めしてもクレメンツとケスラーには伝わるだろう、こいつら妙に連帯が強いからな。
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