暁 〜小説投稿サイト〜
落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
番外編 狩谷鋭美の恋路
前編 ヒーローとヴィランの遊園地デート
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一杯虚勢を張って、船越の手を引いてお化け屋敷に入っていく。
 もう、どうにでもなれっ! 「当たって砕けろ」よっ!

 薄暗く、おどろおどろしい通路。時々聞こえて来る、他のペアの悲鳴。
 自分を包囲している空間の全てに怯えながら、アタシは船越にしがみついていた。も、もうダメ、泣きそう……。

「おい狩谷、歩きにくいぞ」

「デ、デッデデデ、デートっていうのは、そそ、そういうものよっ!」

 アタシは両腕で船越にピッタリと引っ付き、恐怖を掻き消そうと奮闘する。胸が当たるとか、そんなの気にしてられない!

 すると、いきなり目の前が明るくなり、白い顔の女がヌッと出てきた!

「いやあぁあぁ〜っ!」

「お、おい、狩谷?」

「うえぇ〜ん、怖いよぉ〜! ひかりぃ、院長先生ぇ、船越ぃぃ〜っ!」

 もう、堪えられない……。恥も外聞も捨てて、アタシは船越の胸に顔を埋めて泣きじゃくる。

 目を閉じている上に、到底顔を合わせられない状況だから実際のところはわからないけど……きっと、船越は困った顔をしてる。

 無理もないわよね、「お化け屋敷なんて平気」みたいな振る舞いをしていた女が、いざ入った途端にべそまでかいちゃうんだから。

 その後、アタシはさらに腰まで抜かしてしまうという大失態を犯してしまい、自分より小さい男におんぶされて、お化け屋敷を出ることになってしまった。

 うぅ……もう、お嫁に行けない……。

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