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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
最終話 ヒーローの門出
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耳に、外からの話し声が聞こえて来る。この声……生徒会副会長だな。

「大丈夫、大丈夫。船越君なら何の心配もいらないよ」

「ですが! あの生徒は入学当初から手の付けられない問題児で有名ですよ! そんな不良が、こともあろうに、今や生徒の間では学園のシンボルとも言われているセイントカイダーの主題歌を歌うなど、僕には到底理解できません!」

「今の彼はそうなのかい? 少なくとも、僕は彼を信頼しているし、上の人達も彼を買っているのは間違いないんだよ。でなきゃ、セイントカイダーの主題歌を彼に歌わせるなんて提案、持ち上がって来るはずがないだろう?」

「し、しかし!」

「不安なら、なおさらしっかり見てあげようじゃないの。船越大路郎君の、生まれ変わりっぷりを、ね」

 笠野のその言葉を最後に会話は途絶え、やがて何も聞こえなくなった。

 ――大した信頼じゃないか、生徒会長さん。もっとも、俺を買ってる上の人間なんて桜田家の縁者だった達城くらいのもんだと思うけどな。

「……いいぜ、やってやるさ。舞帆にしこたま根性叩き直されてきたんだ、もう昔の俺じゃない」

 そして迎えた本番。ボーカルの俺を中心に、ギターやベース、ドラムの担当者がそれぞれのポジションにつく。

 体育館の幕が開くと、高校のそれとしてはかなりの広さであるにも関わらず、集まった生徒は、その全体を埋め尽くそうとする勢いだった。

 よく見れば、人数が多過ぎる余り体育館に入れない生徒まで、食い入るように俺達に注目している。

 目を凝らしてみれば、ここの生徒じゃない平中やひかり、狩谷までもが歓声とともに俺の名を叫んでいるのが見えた。

 その時に目頭が熱く感じたのは、きっと気のせいじゃないだろう。

 正直に言えば、かなり予想外な規模だろう。
 普通なら間違いなくビビる大人数だが、不思議とまったく緊張がない。

 ――こんなに、俺を見てくれている。こんなに、俺に期待してくれている! こんなに、信頼されている! これなら……俺はやれる!

 舞帆が支えてくれなきゃ、こんな景色はありえない。
 こんな景色、俺の目に映るはずがなかったんだ。

 俺は観衆を一瞥し、マイクを取る。

「俺達には、ヒーローがいる」

 まず発した第一声は、それだった。

 誰ひとり騒ぐことなく、みんなは固唾を飲んで、俺を見詰める。

「そのヒーローは、きっと俺達の知らないところで、学園を守るために戦い抜いてきたんだと思う。俺は、そのヒーローの『今まで』を称えて、『これから』を応援したい。そう、願ってる」

 ――そうだ。

 舞帆は不良に身を落としていた俺を毛嫌いせず、立ち直らせてくれた。

 彼女の尽力がなければ、今日の平和はなかったかもし
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