暁 〜小説投稿サイト〜
落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
第15話 桜田舞帆の決断
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帆ならそれ以上も簡単だったはずだ。この娘なら桜田家髄一の才女にもなれた――貴様にさえこだわらなければ!」

 ……俺に……?
 俺がダメだったから、ほって置けなかったら、舞帆は飛び級をしなかった……?

 宋響学園は、学力がその学年を修了できるレベルだと判断されれば、特例として飛び級ができる。
 確かにAクラスの舞帆ならそれもできたはずだ。

 ――それを邪魔したのが、俺?
 また俺のせいで、舞帆が損をしたってのか?

 舞帆も、気まずそうに俺から目を逸らす。

 俺の、せいで――

「舞帆は必ず優秀なヒーローとなる。そのプロデュースには、我が桜田家に仇なす不届き者の成敗が丁度いいだろう。朝香は舞帆では力不足だと危惧していたらしいが、そんなものは杞憂だ。そこから来る最悪の偶然が、貴様を呼び込んでしまった」

「父さん! 船越さんは、姉さんのために今まで――」

「今まで戦ってきた、というならもう用済みだ。桜田家の敵は桜田家で倒す。貴様のような害虫が出る幕ではない!」

 今まで黙っていた桜田が繰り出す弁護も退け、ハッキリとそう言い放つ。
 そして校長は一転して怒りを含まず、それでいて真剣な顔で舞帆に向き直る。

 しかし、彼女の表情はどこか沈痛な雰囲気が漂っていた。

「舞帆。我らに仇なす敵から犯行予告が来ているんだ」

「えっ!?」

「なっ!?」

 突然のカミングアウトに、俺を含む全員が騒然となる。
 校長は俺達の前で、一通の手紙を開いた。

「『今夜、宋響学園の校舎を破壊する』――実に単刀直入な挑戦状、だな」

「今夜だなんて、ほぼ今じゃないか!」

「無茶です、父さん! 姉さんは実戦経験がありません!」

「そ、そうですよ! 舞帆さんが死んじゃいます!」

 俺が声を上げると、桜田と平中が必死に校長の意向を制止する。
 しかし、やはり耳を貸す気はないらしい。

 赤の他人の平中と害虫同然の俺には全く目もくれず、舞帆と桜田だけを見詰めて、校長は声を上げる。

「これが最後の戦いだ。セイントカイダー、そしてラーベマンの力を以て、憎むべきラーカッサを討つ」

 堅い父の意志に抗い切れなくなったのか、桜田はもうなにも言わなかった。
 否定も、肯定もせず。

 ただ、やるからには勝つしかない、という決意はあるらしく、戦う者としての引き締まった表情になっている。

 そして……。

「舞帆……」

「船越君」

 それまで受けた恩のあまりの重さと罪悪感から、しばらく見れなかった、舞帆の顔。

 その表情からは、先程のような気まずさは消えうせていた。
 未だにそこから抜け切れていない俺が惨めになるほどに。

「決めた。私、ラーカッサ
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