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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
第12話 最低最悪の兄弟喧嘩
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議会の関係者や親族しか使えない病院である割りには、患者のタイプはいろいろらしい。

 細い初老の女性がいれば、筋肉モリモリでありながら、どんな事故をやらかしたのか包帯でがんじがらめにされている野郎もいた。

 そして、患者の名前がない空き部屋であるにも関わらず、数人の若者が集まっている部屋があった。

 男達が、一人の女子高生を組み伏せている。姿はよく見えないが、それがあの女なのかを確かめる必要はなかった。

 女を貪ろうとしている男達の後ろで、楽しげに腕を組む弌郎が見えていたから!

「弌郎ォォォォォオ!」

 あの日の出来事を彷彿させる情景が、俺の理性を奪い去っていく。

 気が付くと、俺は絶叫と共に窓を叩き割って病室に侵入し、自分の身体がどれほど傷んでいるかも忘れて、男達を完膚なきまで叩きのめしていた。

「なんとまァ、おっかなくなっちまったなァ、お前!」

 相変わらずヘラヘラと笑う弌郎だったが、その目の色はお楽しみを邪魔された怒りを克明に映し出している。

 俺は服がはだけていた女に自分の上着を被せて、弌郎の方へ向き直る。

「あ、あなた、どうして――ダメよ、逃げよう!」

 後ろから制止の声も聞こえたが、構う気は起きなかった。

 ただ、その時聞こえた涙声が、ひかりの嘆きを思い起こさせた。

 そして、膨れ上がっていく黒い感情。
 怒り――そう、怒りなんだ。弌郎と、自分自身への。

「いい加減くたばれ、クソ兄貴がァ!」

 一気に殴り掛かった俺の腹を、強化された弌郎の蹴りが難なく打ち抜いた。
 床に一瞬はいつくばり、すぐに立ち上がる。痛みも、苦しみも、そのままで。

「ほらほら、どうした! あの女子高生助けに来たんだろ!? 勇気出してもっと頑張れよ!」

 ヒーロー能力というアドバンテージを以て、奴は俺の顔をさらに赤く染めていく。

 口からは滝のように血ヘドが噴き出し、顔の骨にもひびが入ったようだ。それでも、俺は立つ。

 あの女を助ければ、ひかりを救えなかった罪悪感から、少しは逃げられるかも知れない――そんな叶うはずのない願いがあったから。

「……う、あ、があああああああッ!」

 血が目に入り、視界も閉ざされ、今となっては自分が拳を握っているのかさえわからなくなってきた。ただ弌郎の笑い声から奴の位置を探り、腕を振るう。
 俺には、それしかできなかった。

 そして、俺が顔面にストレートを貰った瞬間、何かが手に触れた。

 カチリ。

 何かのスイッチに触れ、小さな音が鳴る。

「――ク、クソが!」

 さっきまでの余裕を感じさせる立ち振る舞いから一転して、声に焦りの色を感じさせた。

 それだけで、後は何をすべきかは明白に
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