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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
第三章 夢魔と半妖精に紡れる絆
虚像-フェイク-part1/誇りと愛の狭間で
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うな」
「わかりたくなんかないです…」
「何?」
「だって、死んでしまったら…終わりじゃないですか…」
悲しげに言うテファに、ヘンリーは少しの間無言となる。少しの間をおいてから、彼は再び口を開いた。
「君まで彼女と同じようなことを言うのだな」
「彼女?」
誰のことを指しているのだろうか、テファか聞き返す。
「僕の婚約者だ。でも僕が志願するときに、婚約を破棄した。猛反対されたけどな」
婚約したということは、その人と愛を誓い合った仲と言うこと。それを自らなかったことにしたと聞き、テファは信じられないと言うように目を見開いた。
「なんでそんなこと…!」
「言っただろ。僕は軍人だ。国のために戦うって死ぬ。生きて帰れる可能性なんてない。それに未練を残したまま戦場に立てば、敵に隙を作るかもしれない。
だったら、別れるしかないじゃないか!」
「…足手まといってことですか?」
別れる直前にシュウから言われたショックな一言を思い出してテファが聞くと、ヘンリーは迷わず頷く。
「ああそうだ。戦場に立つ者にそんな余計な感情なんか必要ない。
…ペンダントに肖像画を収めてまで、我ながら未練たらしい。あんなもの、不要な未練を残すだけだ」
「ペンダント?それは…」
一体何のことを言っているのだろうとテファが尋ねようとしたところで、マチルダが二人のもとにやってきて口を挟んできた。
「貴族に限らず、男ってかっこつけばかりだね。馬鹿みたい」
「な、なんだと!?」
侮蔑の言葉を隠さないマチルダに、ヘンリーは激情を露わにする。だがマチルダは睨み付けているヘンリーにまったく臆すことなく話を続けた。
「テファにも、あんたみたいに自ら戦いの場に駆り出る男がいたよ」
それは紛れもなくシュウのことだった。
「そいつは村に来てから、盗賊や怪獣から、何度もあたしたちを助けてくれていた。けど、この子の気持ちを蔑ろにしてきた。戦ってほしくない、無理をしてほしくないってこの子の気持ちをね。
あいつが傷つくたびに、この子の心にも傷が入り込むんだ。人の心ってのはね、傷の痛みは傷口が癒えていくうちに痛みが消えるけど、人の心ってのはそう簡単なもんじゃないんだ。一生その痛みを引きずるかもしれない」
「一生…」
「あいつやあんたがどんな思いで戦うことを選んでいるのかなんてこの際問題じゃない。
残された人間の気持ちも知らないで、格好をつけて、なんの得があるのさ。辛いのは、待ってる側もなんだよ。一緒に戦うことも傷の痛みを分かち合うことも出来なくされた人間の気持ちを…あんたは少しでも考えたことがあるのかい?」
「…」
「ないだろうね。そりゃそうさ。どうせこう考えていたんだろ?
『自分と縁を切ればこれ以上彼女が悲しむことはない』とかさ」
「…ああそうだよ!国を守るために戦場に
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