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提督はBarにいる。
熱燗と鶏南蛮と除夜の鐘
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に注いだ時に湯気が立つ程度。

・熱燗(あつかん)……50℃くらいの燗の付き具合。辛口が更に引き立ち、香りもよりシャープな物に。熱燗が苦手な人がよく言う『アンモニア臭い』、『刺激臭がする』というのはこの位の温度から。目安としては徳利の注ぎ口から湯気が立ち、底を触ると熱く感じる。

・飛び切り燗(とびきりかん)……55℃以上の燗の付き具合。熱燗より更に辛味とシャープな香りが立ち、舌にピリピリと来る位の味に。個人的にはここまで燗付けたら逆に不味いと思うのだが……まぁ、好みは人それぞれ。徳利のどこを触っても熱く感じる。

 どうやら、浦風も上燗位がお好みだったらしい。さて、いよいよメインを仕度しようかね。

「鳳翔、間宮。持ってきてくれたか?」

「勿論♪」

「年に一度の楽しみですから♪」

 二人から荷物を預かる。鳳翔からは手打ちの蕎麦、間宮からは蕎麦つゆを。具材・調理は俺の担当さ。



 用意したのは南部太葱。通常の長葱の倍はあろうかという茎の太さが特徴の青森県南の葱だ。何と言ってもその水分量の多さと、生食した際の強烈な辛味が凄い。コイツを白髪ネギとぶつ切りにしておく。続いては鶏のモモ肉。使うのは青森シャモロック。これも青森県産の食材で、濃厚なダシとピアノ線のような繊細な筋肉の弾力性が特徴の極上の鶏だ。これを1人1枚、贅沢に行くぜ。

 モモ肉から余分な脂と皮を外す。脂が多すぎるとくどくなっちまうからな。皮を外した身は削ぎ切りにして酒・醤油少々で薄く下味を付け、片栗粉を軽く揉み込んでおく。外した皮はフライパンに油を敷かずにパリパリに焼いていく。と同時に、鶏皮から滲み出る脂を利用して太葱のぶつ切りを焼いていく。葱の辛味成分は加熱すると甘くなるから是非ともやって欲しいね。コレは。葱は焼きすぎずに焦げ目が付く程度がオススメかな。

 モモ肉を茹でる。沸騰したお湯に片栗粉をまぶしたモモ肉を投入。片栗粉をまぶすとパサつかずにつるりとした食感に仕上がるからな。それと同時に蕎麦つゆを温め、蕎麦を茹でる。

 蕎麦が茹で上がったら流水で締めて器に盛り付け。同様に茹で上がったモモ肉、焼き葱、白髪葱、パリパリに焼いた鶏皮(細切りにしたもの)を載せ、蕎麦つゆを回しかける。最後に三つ葉、柚子の皮をトッピングしたら完成さ。

「さぁ出来た、『特製・鶏南蛮』だ。お好みで山椒か七味を振っても美味いぞ。」

 全員に行き渡った所で、合わせて合掌。

「「「「「「いただきます。」」」」」」

 ズズ、ズルズル〜ッと蕎麦を啜る小気味良い音が響く。そうそう、蕎麦はこうでなくちゃ。と、遠く日本人街の方からゴォ〜ン、ゴォ〜…ンと除夜の鐘が響いてくる。

「いよいよ今年も終わりですねぇ。」

 しみじみとつゆを啜りながら、間宮が
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