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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第191話 洛陽炎上
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うに正宗に答えた。
 それを聞き正宗は苦笑した。諌議大夫とは皇帝の直属の臣下であり相談役のような立場である。だが、実権のない皇帝の元では諌議大夫の力は発揮できない。体よく閑職に追いやったとも見れる。だが、仮に力無き官職であれ、劉表が賈?の求めに応じその地位に就いたことは疑うべくもない事実である。劉表には受けない選択もあったからだ。

「娘を荊州牧にと奏上した私を裏切るか」

 正宗は鋭い目で近くに掲げられた篝火を睨んだ。

「賈文和、劉景升を諌議大夫に据えて皇帝陛下の監視役に据えたのでございましょう。そして、その役目に劉景升は応じた。皇帝陛下も正宗様の近い存在であろう劉景升殿には少しは気を許しましょう。中々に悪知恵が回る女です」
「仮にそうであろうと、皇帝陛下は劉景升など信用すまい」

 正宗は冷めた口調で答えた。揚羽は酷薄な笑みを浮かべた。

「正宗様は皇帝陛下を買っておいでなのですね」
「皇帝陛下は馬鹿ではない。暗愚な者であれば、その心を痛めることは無かったであろう」

 正宗は感傷的な雰囲気で本音を吐露した。その様子を揚羽は興味深そうに見ていた。

「正宗様は皇帝陛下をお恨みではないのですか」

 揚羽は正宗の言葉を察しているようだったが敢えて質問しているようだった。

「遺恨はない。皇帝陛下は今回のことで自らには何の力もないことを痛感したであろう。だが、皇帝陛下はそれでも皇帝であろうと強気に振る舞っているに違いない」
「正宗様が董卓軍に襲撃を受け、その情勢下で董仲穎に降った劉景升には心を許す筈がないということですね」

 正宗は揚羽の顔を見て頷いた。

「惜しいですね。生まれる時代を選べれば名君となり得たかもしれませんね」

 揚羽は劉協に同情するような様子だった。しかし、彼女は劉協の同情はしても、劉協を擁護する気持ちは微塵も無かった。揚羽にとっては正宗が主君であり、天下の差配は正宗の手に委ねられるべきと考えているからだ。
 揚羽はふと小声で笑った。

「何がおかしい」

 正宗は揚羽を訝しむように見た。揚羽は落ち着いた様子で佇まいを正すと正宗を向き直った。

「申し訳ございません。劉景升のことが滑稽に思えましたのだ。劉景升は正宗様が都を逃げ去り、後ろ盾も失い失意の中で賈文和に屈したということでしょう」

 揚羽は冷淡な笑みを浮かべた。その表情を正宗は横目で見つめた。

「正宗様、劉景升は娘のことを考えれば士大夫として潔く死を選んでいれば良かったと思います」
「自決せずとも荀爽くらいの気概を見せれば要職を用意してやるつもりだったが」

 正宗は目を細め鋭い視線を虚空に向けた。正宗はその口振りから荀爽のことを高く評価しているように感じられた。それを揚羽も感じているようだ
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