暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
聖夜に祝福を
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くはないけど…どうしたの?」
「あ、えっと…その、ですね」

もごもごと、言いにくそうに視線を逸らす。レビィが首を傾げた頃、意を決したように拳を作って、照れくさそうに頬を薄く染めてシュランは口を開いた。

「く、クリスマスの贈り物を……その、何か欲しいものは、ありますか…?」

言いにくそうにしていた割に大した事でもない一言にぱちりと瞬きをして、レビィはふと思い出した。いつかに語ってくれた彼女の過去。誰も彼もから忌み嫌われ、友人と呼べる存在もなく過ごした幼少期。支えてくれた青年や今でも慕い続けるガジルはいても、シュランはきっと彼等を友人とは呼ばないだろう。そういう子だと、レビィはずっと前から知っている。
それを知った上でシュランの一言を思い返せば、だから言いにくそうだったのかとすぐに理解出来た。

「そうだなー…あ、シュランは何か欲しいものある?プレゼント交換しようよ!」
「え、あ、あの、…お、恐れ多いですレビィ様……!」
「もー、そんな風に考えなくていいんだって。友達にプレゼントあげたいって思うのは当然でしょ?」

そう言えば、今度は彼女がやや面食らったように瞬きを一つして、それから嬉しそうに微笑んで頷いた。







と、ギルドのあちこちでクリスマスの話題が出る中、一人全く違う事に頭を全力フル回転させている奴がいた。

「ふむ…むぅ……」

群青色の髪に同色の目、顔は悪くない上に性格もいいのにちょっとどころかかなり残念な青年、今日もシスコンロードを最高速度で爆走中のクロスである。
薄い唇をへの字に曲げ、眉を寄せて何やら考え込んでいるらしい。組んだ腕を解いてはこつこつと人差し指で机を叩き、また何か納得のいかなさそうな声を漏らして腕を組み直す。時折何かを思いついたのかぱっと表情を明るくもさせるのだが、すぐに何かに気づいたかのようにはっとして、また考え込む。先ほどからこれの繰り返しだ。

「クロス?何かあったのか?」
「ああ…いや、あったというか、先の事というか……」
「考え事?お魚食べる?」
「……気持ちだけ受け取っておく」

差し出しながらもその目はしっかりと魚を見ていて、そんなハッピーの様子にクロスは苦笑しながら軽く手を振った。「そっかー」と答えるやすぐに齧り付いた辺り、自分で食べようと思っていたものをくれようとしていたのだろう。

「で、どうしたんだよ。お前がそんなに考え込むって事は、まあ予想はつくけどよ」
「姉さんの事なんだがな」
「だよな」

それ以外ねえよな、とグレイが頷く。その上半身が何も着ていないのはいつもの事なので敢えて指摘はしない。長方形のテーブルのベンチ席、クロスの右隣にグレイ、向かいにナツでその隣にハッピーという珍しい三人と一匹組である。
因みに今、
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