暁 〜小説投稿サイト〜
超速閃空コスモソード
番外編 残された姫君達
[21/22]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
してくれよエースパイロットさん」

 その時。物思いに耽っていた彼の後頭部に、棒切れが命中する。頭をさすりながら振り返った彼の前には、アイロス・フュードマンが呆れ顔で立っていた。

 ――今日は飛行訓練の疲れを癒そうと集まった、ポロッケタウン基地の女性パイロット達が、オアシスで水浴びをする日。
 カケルとアイロスは、その見張り役を任されているのだ。女性パイロット達は全員が見目麗しい美女ばかりであり、狙う輩は後を絶たない。

 大勢の美女が水浴びしている、となれば覗きに来る者達はこぞってオアシスに集まるだろう。そんな連中を取り締まるのが、今日の仕事なのだ。

 カケルとアイロスの後ろでは、女性達が和気藹々とはしゃいでいる声が響いている。
 そんな女性陣と、見張りに徹する男性陣を隔てる草むらを一瞥し、アイロスは深くため息をついた。

「……ったくよォ。覗きてぇのはこっちだってぇのによ。だいたい、なんでカリンまであっち側なんだよ。あいつパイロットじゃねーだろ」
「女の子同士って、すぐ仲良くなっちゃうからね。すっかり馴染んでるみたいだし」
「その裏じゃ陰口の叩き合い、ってのが相場だけどな。――あら? ていうか、おっさんはどこ行ったんだ?」
「え? ……あ、ほ、ほんとだ。おじさん、どこ行ったんだろう」

 その時。アイロスはふと、見張り役が一人足りないことに気づく。それに呼応するように、カケルも辺りを見渡し始めた。

 見張り役は、彼ら二人だけではない。本来ならもう一人――ジャックロウ・マーシャス三等軍曹がいるはずなのだが。
 そのジャックロウの姿が見えず、二人は狼狽する。人一倍小柄である彼はなにぶん見失いやすく、背の高い草むらが多いこのオアシスでは、一度見失うと中々見つからないのだ。

「待てよ……まさか! おっさん覗きに行ったんじゃ!?」
「そ、そんな!? いつもカリンとゼナイダさんにちょっかい掛けるだけで死にかけてるのに! 今回はあの二人だけじゃなくて、女性パイロット皆がいるんだよ!? ここでそんなことしたら……!」
「お、おい! 早く探し出すぞ! でないとせっかくのオアシスが血の色に――」

 そこで浮上した、最悪の可能性。それが意味する結末を回避すべく、二人は焦燥を露わに捜索を始めた――その時だった。

 宙を舞い、螺旋状に回転する何かが、二人の足元に墜落した。

 べちゃり、という粘ついた水音を立てたそれは……赤黒い肉塊のように伺える。それが何なのか。わかってしまった二人は、声にならない悲鳴を上げて凍りつく。

 それは確かに――コズミシア星間連合軍所属、ジャックロウ・マーシャス三等軍曹。だった、「何か」であった。

「おっ……おっさぁあぁああん!」
「ジャッ……ジャックロウおじさぁあぁ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ