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仮面ライダーAP
第三章 エリュシオンの織姫
第3話 人間達の決断
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と神奈川県川崎市の境にある山中に造られている。要は、人里から離れているのだ。

 危険と称して人払いさえしておけば、施設に人員を割かなくても実態が漏れることはない。
 漏れるところがあるとすれば同施設の収容者達だが、その口ならテロリストが一人残らず封じてくれる。

 警察側の被害を最小限に抑えた上で、残る最後の保護施設を破壊し被験者を全滅させ、予算を削減。さらに国際社会からの同情も買える。その罪は全て、実行犯のテロリスト一人に被せればいい。

 政府主導によるその計画――「12月計画(ディッセンバープロジェクト)」は、人を人とも思わぬ「非情」の塊であった。

 選りに選って人民を守ることを主命とする警察、その管轄を任されている警視総監にそれを強いるという悪辣さに、アウラは怒髪天を衝く――というほどの怒りを掻き立てられていた。
 そして彼女の怒りは政府だけでなく、言われるままに渡改造被験者保護施設を見捨てた挙句、最後の保護施設にいる被験者達まで見殺しにしようとしている番場総監にも向かっていた。

 警視総監としての職務に背いていることだけではない。
 命じられるままに、たった一人の愛娘さえも見放そうとしていたことにも、彼女は激昂しているのだ。

 ――数ヶ月前。シェードは番場総監への脅迫として、当時中学2年生だった14歳の娘「番場遥花(ばんばはるか)」を誘拐。警察への見せしめとして、彼女を改造人間にしようと企んだ。
 しかしその企みは、アジトを発見した仮面ライダーAPの乱入により頓挫。改造手術を受けている最中だった遥花は救出され、番場総監のもとへと送り返された。

 しかし無傷だったわけではない。右腕一本だけであるが、彼女はすでに改造手術を受けてしまっていた。
 意識が快復しても右腕が元通りになるわけもなく、遥花は脳改造を受けていないためにその力を操り切れず、このままでは危険と判断され風田改造被験者保護施設に収容されることとなったのである。

 同施設は渡改造被験者保護施設よりも危険性の高い被験者達を、保護と称して隔離する目的で山中に建てられている。
 一般人の面会が絶対に許されない魔境であり、警視総監である彼も容易くは娘に会えない日々が続いていた。

 それでも電話を通して、親子で励ましあい生きてきた。その矢先の――この「12月計画」である。

 愛する娘を「国」に見放され、番場総監は無力感に打ちひしがれていた。アウラの言葉は、その胸中を深く抉っている。
 ロビンはそんな両者の様子を、暫し見つめた後。ようやく口を開いた。

「――政府の目的はあくまで、被験者全員の抹殺。自衛隊に要請を出しても同じですし、被験者達を施設から逃がせばいいというわけでもない、ということですか」
「政府はシェードの蜂起が
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