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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
闇-ダークネス-part3/繰り返される別離
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彼女の病は、同じプロメテの子である憐がかつて患っていた病とは違っていた。普通の人間が発症する、癌だった。
シュウを必死に支えようと頑張りすぎて、寝る間も削りすぎた結果、彼女は癌を発症してしまったのだという。
「愛梨…体の調子はどうだ?」
近くの病院へ入院した愛梨を見舞いに来たシュウは、ベッドに横たえる彼女に話しかける。
「うん…ちょっとだるいけど…」
「こんなになるまでなにも働きつめなくても…」
シュウは弱っていく愛梨を見ながら言った。
「ごめんね、それでも…助けたかったの…」
愛梨は窓から拭きぬける温かな風を浴びながら続けた。
「私とあなたの初めて会った日のこと、覚えてる?」
「始めて会った日?」
急に自分と彼女の初めての出会いの日のことを問われ、シュウはきょとんとした。
「…忘れちゃった?」
「あ、いや…えっと…」
「…やっぱり忘れたんだ」
おかしい、記憶力は自慢できるくらいなのに、自分は愛梨と初めての出会いがどんな形だったのか思い出せなくなっていた。度忘れされていたことに不服だったようで、愛梨は頬を膨らませた。ジロッと布団に顔の下半分を隠しながら睨んできた愛梨に、シュウは「う…」と怯んだ。
「…私さ、あまり外で遊ぶの好きじゃなかったから、アカデミーのみんなの輪に入って遊ぼうともしないで、一人ぼっちで本を読んでたんだよ。その本がたまたまあなたが興味のあった本で…それでだんだん一緒に話すようになったんだよ」
「あ、ああ…そうだったのか」
シュウはあまり思い出せなかった。彼女とは幼い頃からの付き合いだ。もしかしたら長い時間を経て、一緒にいるのが当たり前になってきたせいで、忘れてしまったのかもしれない。
「私すっごく嬉しかったのに、忘れるなんて…酷い」
「わ、悪かったよ…」
「だーめ、許しません!」
すっかりご機嫌斜めの愛梨は、布団に身をくるませ、完全にシュウから目を背けた。
「そ、そんな…じゃあどうしたやら許すんだ?」
「…許してほしい?」
背を向けたまま、目線だけは後ろを向かせて愛梨は問い返す。
「も、もちろんだ」
「じゃあ…約束して?」
「約束?」
「そう、とっても大事な約束…」


愛梨との面会後、一応アカデミーへ連絡を入れてみた。最新鋭の医療技術をもってすれば、癌など問題ではない。そう思っていた。しかし…
ある日、携帯でアカデミーに連絡を取り付けたのだが、なんとNoと断りを入れられたのだ。ありえない返答にシュウは連絡先に向けて怒鳴りつけた。北米本部の医療もタダではなかったし、何よりある方針が成り立っていたのだ。それは、ビースト殲滅優先。たった一人の少女のために治療費をくれてやる余裕などないと一蹴されてしまったのだ。
これにシュウは激しく不服を露にしたものの、無視された。
だからシュ
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