暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
闇-ダークネス-part3/繰り返される別離
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年だった頃から苦悩と葛藤、悲劇にさらされ続けてきたのだ。これ以上苦しめさせてなるものか。
「…しいて言えば……『贄』だ」
「贄?」
やはりこいつ…いや、村を襲った連中のことを考えて『奴ら』と言うべきか。シュウを使って何かをたくらもうとしている。

今はこいつらを相手にシュウを戦わせてはならない。アスカは強くそう思っていた。
地下施設の闘技施設のゲートの向こうのフロア。そこでシュウを見つけたときの光景を思い出す。
吐き気を催すほど、血で満たされた光景。アスカがこれまでの人生で決して見たことのない、できれば見たくもなかった悲惨な光景。そしてどういうわけか、その中央に血まみれの状態で突っ立っていたシュウ。
振り返ったそのときの彼の瞳は…!

とにかく、この男とシュウをこれ以上、戦わせるのは危険と判断した。
だが一方でシュウもアスカに言い返す。
「待ってくれ。あんたは怪我を負っている」
さっきの怪我、原因はわからないが、飛鳥ほどの男がかなり痛めつけられたことが十分にわかっていた。そんな状態で戦えば、いかにアスカが自分より長いこと経験を積み重ねてきたウルトラマンであっても、苦戦は免れない。ましてや相手は…闇のウルトラマンだ。光の存在であるアスカでは決して行わないであろう卑劣な手段もことによっては講じる可能性が高く、それ以前に実力もこれまでの戦いでとんでもないものであることが証明されている。
この男を相手に、アスカがたった一人で戦うなど危険だ。だが、アスカはシュウに言い返す。
「シュウ、お前も十分疲労が溜まってるじゃねぇか。このまま二人で真正面からぶつかっても、ちと厳しいぞ」
「だったらなおさら…!」
なおも言い返そうとするシュウ。
と、そのときだった。
ドガッ!!とシュウの腹に、強烈な一撃が見事に入った。アスカが放ったものだ。
あまりにも強烈なみぞおちへの一発に、シュウは殴られた箇所を押さえながら倒れこむ。
「うぐ…!?」
何の真似だ、という余裕もなかった。
「お前の役目は…まずはあの子達のもとに帰ってやることだ。そして、ちゃんと心配かけたこと、謝ってこいよ。今回お前が背負う気だった分の苦労は、俺が肩代わりしてやる」
「アス…カ…」
意識が薄れていく。アスカに向けて手を伸ばすシュウだが、視界がやがて闇の中に飲み込まれていく。

「安心しろ!この卑怯者をぶちのめすまで死にはしねぇ!
俺は不死身のアスカ!

ウルトラマンダイナだ!」



その言葉を最後に、シュウの耳に響いていたアスカの声は遠くなっていった。


最後に見えたのは、アスカが光に包まれてウルトラマンダイナに変身し、シュウを執拗に狙ってきていたメフィストと対峙する姿だった。




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