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嫌われの忌み子あれば拾われる鬼子あり
第1章 番外編 白鬼と神速
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なお前が売った喧嘩だ」

この空間にいる全てのものはシグレに触れているのと同じ事、つまり

「シャトルメセラリティ」

「くっ…ぅ…」

クレハは胸を抑えて苦しみ出す。それもその筈、クレハにのみ酸素が分け与えられていないからだ。

「喧嘩とはいえお前を傷つけるのは忍びねぇんだよ。苦しめるが悪く思うな」

右手を突き出し親指と人差し指をくっつける動作をする。それによってクレハの喉を塞き止められ空気を送ることも吐き出すことも声を出すことさえも封じる。

「!!…!」

クレハは膝をつき顔を下げる。シグレはそれを見てそろそろかと塞き止めたままクレハに近づいていく。
あと数歩で届く範囲に来た時、クレハは顔を上げて口パクでシグレにこう言った。

『甘いです』

それを理解しようとした一瞬、クレハはシグレの後ろにいた。神速の使用だった。

「て…めぇ」

シグレの腹部を横一文字に一閃し血が吹き出る、内蔵には届かないものの出血は激しい。これによってクレハにかかっていた魔法は全て解かれる。

「はぁ…はぁ…ふぅ…甘いですシグレ」

「ちっ…」

「貴方は私には…いいえ、人に優し過ぎるんです。だから……」

「…身を滅ぼすとか言いてぇのかよ」

「いいえ、だから私は貴方を愛しているんです」

「そうかよ、俺もお前の事愛してるぜ。だからこそ…」

「はい、だからこそ…」

「「誰にも渡したくない!!」」

シグレの固めた拳とクレハの剣がぶつかり合う。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2人の戦いに既に魔法という概念は無かった。
ただの肉弾戦、拳と剣の戦い。明らかに剣の方が有利な条件をものともせずに2人はほぼ互角の戦い、むしろシグレの方が優勢なまであった。

クレハが何度も剣を振りシグレの体を斬ろうとしても、それを全てその拳で捌き反撃する。その反撃に対して剣で受け止めたり受け流してまた攻撃に移る。それの繰り返しだった。それを休み無しに何10分と続けている。

「まだやれるかよ」

「当然です」

「俺はもうやりたくない、ね!」

振り下ろした拳が地面を砕きその破片がクレハを襲う。

「そんな事させません!」

体に当たる地面の破片を無視し、その破片に隠れたシグレの拳に目掛け剣を振った。直撃し振り切った。普通ならその手を切り落とす程のものだが表面の肌を斬るだけの軽傷だけだった。

「貴方も大概です。どうして今のを軽傷だけで済ませられるのですか」

「お前も知ってるだろうよ。魔力を固めただけだぜ、お前が俺の攻撃を読んだように、俺もお前の攻撃を読んだんだよ」

拳から流れる血を払い、またクレハに向けて拳を振るう。

「お
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