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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百九十五話 共同占領
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禁したことも住民達からの支持を受ける事になった。

辺境に来て分かったのは、貴族による惑星統治の酷さだった。彼らにとって住民は自分達の許可無しには生きる事さえ許されない存在だった。略奪の厳禁、ごく当たり前の事を行う事で支持を得る事が出来る……。特権は人を腐敗させる、確かにその通りだ。

私はこれまでマリーンドルフ伯爵家を存続させるために司令長官に味方していた。正直貴族に対して課税する、その権力を抑制しようとする政策に共鳴したわけではなかった。

しかし辺境に来て司令長官の進めようとしている改革が帝国には必要だというのが良く分かった。確かに帝国はこのままでは危ない、貴族という一部の特権階級によって食い潰されてしまうだろう。

変わらなければならない、今回の内乱は単なる権力争いではない。帝国の未来を決める戦いなのだ。マリーンドルフ伯爵家が、私自身が新しい帝国の成立にどのように協力していけるのか、そのために何が出来るか。その事をもう一度考えなければいけないだろう。



宇宙暦 797年 1月12日  ハイネセン 最高評議会ビル  ジョアン・レベロ



最高評議会議長の執務室は緊張に包まれていた。スクリーンには帝国の高等弁務官レムシャイド伯が映っている。執務室にいるのはトリューニヒト、ホアン・ルイ、ボロディン統合作戦本部長、そして私。

ここ半月ほどの間、レムシャイド伯と私達は二、三日おきに連絡を取り合っている。もっとも会話の内容はまるで変わる事は無い。“兵を退け、これは帝国の内政問題だ”というレムシャイド伯に対して“兵は退けぬ、退けば帝国と同盟の関係はより悪化する”と答えるトリューニヒト。

帝国軍は三日前からフェザーンまで二日の距離で止まっている。同盟軍がフェザーンを目指している事でフェザーン占拠をすれば戦争になりかねないと見ているのだろう。

今のところ、艦隊を派遣した事はそれなりの効果を上げている。帝国が単独でフェザーンを占領する事を防いでいるのは確かだ。しかし、問題はこれからだ、帝国の我慢もそろそろ限界だろう。

ここからは間違いは許されない。トリューニヒトの言うように共同占領が実現するのか、帝国が受け入れない場合はフェザーンからの全面撤退も有るだろう……。当然我々も厳しい立場に置かれる事になる。

『トリューニヒト議長、同盟は帝国との戦争を望んでいるのかな?』
「とんでもない、そのような事はありません」
トリューニヒトの返事に対してレムシャイド伯の表情が厳しくなった。

『ならば兵を退かれよ。このままでは帝国軍と卿らの艦隊の間で戦闘が起きる事になる』

「戦闘は望む所ではありません。しかし、こちらの事情も御理解いただきたいのです。フェザーンの占領など認めれば、我々の政権は崩壊せざるを得な
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