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渦巻く滄海 紅き空 【上】
百八 共闘
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は無く、代わりに顔の数に比例してか、腕が六本あった。それは下半身を除けば、まるで阿修羅の如き出で立ちであった。

ヒヒッ、と裂けた口許を大きく歪めて、ギタイは獰猛な笑みを三つ浮かべた。君麻呂の全身を覆う禍々しい文様をちらり、と見遣る。

「同じ異形同士、仲良くするでありんす〜!」
「………貴様と一緒にするな」


【呪印】を纏った君麻呂は、不本意だ、と顔を歪めて身構えた。



















天を裂くように伸びた一条の光。
紫を帯びたチャクラの光は、森の奥にいたクスナの眼にもしっかと見えた。
「あのバカっ、直接チャクラを呑みやがったか…ッ??」

チャクラ蟲を混入させたクスナだからこそわかる。彼の眼から見て、その光がギタイのチャクラであることは明白だった。
チャクラ蟲のチャクラを直接呑み込めば、膨大な力と引き換えに何が起こるかわからない。顔を歪めたクスナを見兼ねて、彼と対峙していたナルトは口添えした。

「何が起きているか判断出来ないが…―――過ぎた力は身を滅ぼすよ」
「……ッ」
眼を彷徨わせるクスナを、ナルトはじっと見据え、やがて先ほど輝いた一条の光、即ち、ギタイがいる方向を親指で指差した。
「行きなよ」
「…また、逃がすというのか!?何故、」

一度、巫女の屋敷を襲撃した際も見逃してくれた相手からの再度の催促に、クスナは困惑顔で訊ねる。その顔にはナルトへの敵対心や警戒心よりも、戸惑いのほうが大きく表れていた。
「強いて言うなら、今、君と話した内容を前向きに検討してほしいんだけどね…」
「…………」

ナルトの顔をクスナはじっと見据える。
標的である紫苑と白を追い詰めたと思ったら、その正体がナルトの変化であった事実は、もはやクスナに言い逃れの出来ない真実を突き付けていた。如何に足掻こうとも、この目の前の少年には敵わないだろうという真実。

だからこそ、解せない。自分を一瞬で亡き者に出来るだろう実力者が二回も見逃してくれることが。
しかしながら、それでクスナの寿命が延びているのも事実なので、彼はもうナルトに逆らう気力がほぼ無かった。
(…それでも…俺の主は……)


黄泉の顔を脳裏に思い浮かべつつも、クスナはナルトの言葉を否定する事が出来ない。せめてもの反抗として無言で立ち去るクスナの後ろ姿を、ナルトは静かに見送った。

クスナの気配が完全に消えたのを確認した後、パチンと指を鳴らす。途端、白の術で散りばめられていた鏡が一斉に音もなく消えた。

足穂を鬼の国に帰した後、影分身一人変化させ、白と紫苑に化けたナルトはクスナを誘き寄せた。
その際、わざと目立つ箇所に鏡を置いていたのだが、実際鏡があったのは、森の一角ほぼ全部だ。
クス
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