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渦巻く滄海 紅き空 【上】
百八 共闘
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けれど白の鏡を通して貫いた感触からして、あの斬撃がギタイに致命的ダメージを与えたのは明白だった。

【念華微笑の術】において、ナルトの『周りをよく見てみろ』という発言で、君麻呂はそこで初めて、白の鏡に気づいた。墜落してくる岩に隠れていたが、その鏡から反射する光を受け、白が近くにいる事実を察する。同時に、ギタイのすぐ背後からも鏡の姿が垣間見えたので、君麻呂は白の意図に気づけたのだ。

鏡の中に繰り出した攻撃を、別の鏡からの攻撃に移行する。その離れ技を遠隔操作した白も、即座に察した君麻呂も、当人達は認めたくないだろうが、その思考はやはりどこか似ていた。

「ナルト様は?」
「封印の祠を目指しています。僕達も早く…」

白がそう答えるや否や、崖を背にする君麻呂。森の中へ一目散に駆けてゆく君麻呂に白は顔を歪め、次いで、ふっと口許に苦笑を湛えた。
(素直じゃないですね……君も、僕も)


すれ違い様に、風音で掻き消えるほどの小さな呟き。
君麻呂の素直じゃない一言を、白の耳は確かに拾っていた。




「不本意だが、一応礼を言う…――助かった」

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