暁 〜小説投稿サイト〜
豹頭王異伝
新風
僭王の弁明
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「ナリス様も、人が悪いぜ。
 お前が本当に蒼褪めるもんで、俺まで、冷や汗を掻いちまった。
 まぁ奴等が疑わずに納得してくれて、助かったけどな。

 何、鳩が豆鉄砲喰らった様な顔してんだよ。
 黙ってて悪かったけどさ、ナリス様に釘を刺されてたんだ。
 マルコは正直で顔に出てしまうから、事前には何も言わない方が良い。
 思慮深い年長者が驚く様を見れば、他の連中も疑わないってさ!
 次に芝居を打つ時は、お前を仲間外れにしねぇって!
 謝るから機嫌を直せよ、海の兄弟!!」

「他の者達には、何とでも思わせておけば良い。
 イシュトヴァーンと私は誰が何と言おうと、固い絆で結ばれた運命共同体だからね。
 ヴァレリウスは執念深いから、また愚痴の垂れ流しを聞かされるだろうけれど。
 私は決して鏡に映った様に魂の良く似た同志、イシュトヴァーンを見棄てる事は無い」
 目を白黒させる沿海州ヴァラキア出身の騎士、元オルニウス号水夫長マルコ。
 か弱い王子様を完璧に演じる役者、アルド・ナリスの面には意味深長な微苦笑。

 不可触性の力場《フィールド》、混沌の暗幕《カーテン》ならぬ白魔道の結界。
 心理誘導の磁場を張り巡らせ、不可視《ステルス》の盾に潜む術者が唇を噛む。
 天性の演戯者《プレイヤー》は華麗に舞い踊り、天幕を舞台に幕間劇を披露。
 屈託の無い純真無垢な表情を湛え、しゃあしゃあと黒子に徹する愛国者を一瞥。
 時も次元も解明された天上の都、ランドック製の第13号受送機《レセプター》。
 古代機械が認めた唯一の主、補欠管理者《セカンド・マスター》が微笑った。


「俺が本物の馬鹿なんかじぇねぇって事ぁ、お前等には解ってるだろうがよ。
 ユラニアの老いぼれ、クムの石頭みてぇな阿呆共とは出来が違うんだ。
 今回の出兵だって伊達や酔狂じゃねぇ、用意周到に計算してあったんだ。
 でなきゃ、建設中のイシュタールを放り出してまで遠征なんかしねぇ。

 ナリス王とは最初(はな)っから、ちゃんと話を付けて共闘する筈だったんだがな。
 意識不明の重態とか抜かしやがって、マルガに詰めてた他の阿呆共が邪魔しやがった。
 連中は何も知らねぇ、真のパロ王は治療中だから話が出来ねぇの一点張りでよ。
 真の悪い事に頭の弱い草原の蛮族共が何をトチ狂ったか、味方の俺達に夜襲を掛けて来やがる。

 ケイロニアの兵隊を引き連れてきた豹の野郎も、ナリス王から何も事情を聞いてねぇしな。
 ゴーラ軍は血に飢えた(けだもの)だ、なんて根も葉も無ぇ噂を真に受けやがった。
 スカールの畜生から自慢の顔に傷を付けられて、ちっとばかり(たま)に来ちまってよ。
 つい俺も頭に血が昇ってな、見境無く暴れ出さずにゃあ居られなかったのさ。

 治療とやら
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ