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豹頭王異伝
新風
僭王の弁明
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りだよ。
 一体何処で、そんな立派な演説を勉強したのだね?」

 反体制派の遊撃兵(ゲリラ)ではなく、紅の傭兵を自称する陽気な無頼漢(バスタード)
 予知能力にも喩えられる野生の勘、動物的な危機察知能力を誇る魔戦士の運命共同体。
 大衆の心を掴む術を心得た天性の煽動者に劣らず、巧みな人心収攬術を誇る天性の策謀家。
 パロ聖王家の青い血が誕み出した芸術品、アルド・ナリスの唇が賛嘆の詞を紡いだ。

「馬鹿言ってんじゃねぇ、詐術(イカサマ)虚勢(ハッタリ)なんざ御手の物よ。
 俺だって経験の浅い若造じゃねぇ、あっちこっちで色んな経験を積んで来てんのさ!
 レントの海で海賊船に乗って暴れ回ってた時、赤い街道で盗賊やってた時だってそうさ。
 腕と度胸に加えて知恵と勇気たぁ言わねぇが、頭を使って力自慢の馬鹿共を従えたんだ。
 ましてや俺に心服してる可愛い部下共なんざチョロイもんさ、これくらい屁でも無ぇよ。
 ナリス様と初めて会った時から出来てたさ、ゴーラを切り従えたなぁ伊達じゃねぇんだぜ!」

 御世辞とは百も承知であるのだろうが、ナリスに褒められ満更でもなさそうに輝く浅黒い顔。
 イシュトヴァーンの屈託の無い表情、こんな幼児の様な笑顔を見たのは初めてかも知れない。
 この笑顔を無鉄砲な暴れ馬、野心家に無償の愛情を捧げる擁護者カメロンに見せてやりたい。
 マルコの想念は結界の中から見守る黒子、ヴァレリウスにも充分に共感の出来る物だった。

 竜王の操る異次元の怪物が襲来する悪夢、密かに危惧されていた黒魔道の攻撃は無かった。
 イシュトヴァーンに魔王子アモンを護らせる為、キタイの軍勢10万を派遣する。
 ヤンダル・ゾック自身は大規模な反乱を鎮める為、一時的に撤退を余儀なくされた。
 ゴーラ王の催眠暗示命令を素直に解釈すれば、アモンは未だ弱体と判断される。

 ナリスは魔道師を通じ遠隔心話で盟友グインと情勢を検討の後、配置転換を指示。
 カラヴィア軍と聖騎士侯2名を合流させ、パロ解放軍の警戒は魔道師軍団2班に削減。
 竜の歯部隊、黒竜騎士団、金犬騎士団、別動隊、新生ゴーラ軍に同行の《人質》にも各2班。
 6群の軍勢を魔道師12名が警戒する態勢を整え、クリスタル進軍を支援する。

 ワルスタット選帝侯ディモス率いる白象騎士団2千、金猿騎士団2千も行動を開始。
 マルガへ向かわず直接ダーナムへ進軍、グイン率いる本隊の同地制圧後に合流の指示を受諾。
 ケイロニア軍に続く世界最強の座を虎視眈々と狙う若者達、挑戦者(チャレンジャー)の軍団。
 第1次黒竜戦役の際には敵の同盟軍であった神聖ゴーラ帝国、ユラニア出身者が基幹の援軍。
 血気盛んな勇将の率いる軍団も風雲児の檄に応え、記録的な速さで出陣準備を完了。


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