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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
二刀流
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たプレイヤーに向かって大声を上げた。

「何している!速く転移アイテムを使え!」

だが、男はサッとこちらに顔を向けると、炎に青く照らし出された明らかな絶望の表情で叫び返してきた。

「ダメだ……!ク、クリスタルが使えない!!」

「な……」

思わず絶句(ぜっく)するキリト。この部屋は《結晶無効化空間》。迷宮区で(まれ)に見られるトラップだが、ボス部屋がそうであったことは今までなかった。

「なんてこと……!」

アスナが息を呑む。これでは迂闊(うかつ)に助けにも入れない。その時、悪魔の向こう側で1人のプレイヤーが剣を高く(かか)げ、怒号(どごう)を上げた。

「何を言うか……ッ!!我々解放軍に撤退の二文字はない!!戦え!!戦うんだ!!」

間違いなくコーバッツの声だ。

「愚かだ……」

俺は思わず呟いた。結晶無効化空間で2人いなくなってるということは、2人は死んだということだ。それだけあってはならない事態なのに、あの男は今更何を言っているのか。全身の血が沸騰(ふっとう)するような(いきどお)りを覚える。

その時、ようやくクライン達6人が追いついてきた。

「おい、どうなってるんだ!?」

キリトは手早く事態を伝える。クラインの顔が歪む。

「な……何とかできないのかよ……」

「俺達が斬り込んで連中の退路を開くことはできる。だが、転移結晶が使えないこのエリアで、こちらが全滅する可能性もある」

あまりにも数が少なすぎるこの状況で、俺がキリト達と話してるうちに、ボスの向こうでどうにか部隊を立て直したらしいコーバッツの声が響いた。

「全員、突撃!」

10人のうち、2人はHPバーを限界まで減らして床に倒れている。残る8人を4人ずつの横列に並べ、その中央に立ったコーバッツが剣をかざして突進を始めた。

「やめろ……っ!!」

だがキリトの叫びは届かない。

余りに無謀な攻撃だった。8人で一斉に飛び掛かっても、満足に剣技を繰り出すことができず混乱するだけだ。それよりも防御主体の態勢で、1人が少しずつダメージを与え、次々にスイッチしていくべきだ。

ボスモンスターは仁王(におう)()ちになると、地響きを伴う雄叫びと共に、口から(まばゆ)噴気(ふんき)を撒き散らした。どうやらあの息にもダメージ判定があるらしく、青白い輝きに包まれた8人の突撃の勢いが緩む。そこに、すかさず悪魔の巨剣を突き立てられた。1人がすくい上げられるように斬り飛ばされ、悪魔の頭上を越えて俺達の眼前の床に激しく落下した。

コーバッツだった。

HPバーが消滅していた。自分の身に起きたことが理解できないという表情の中で、口がゆっくりと動いた。

「……あ、あり得ない」


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