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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
S級食材
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体長以上に長く伸びた耳。視線を集中すると、自動でモンスターがターゲット状態となり、視界に黄色いカーソルと対象の名前が表示される。

その文字を見た途端、俺は少しだけ息を詰めた。《ラグー・ラビット》、超のつくレアモンスターだ。

話には聞いていたが、実物を見るのは初めてだった。樹上に生息するモコモコしたウサギは強いわけでも経験値が高いわけでもないが__。

とりあえず俺は腰のベルトから、そっと投擲(とうてき)用の細いピックを抜き出した。俺は《投剣スキル》を選択しており、熟練度も高い。ラグー・ラビットの逃げ足の速さは既知のモンスター中最高と聞き及んでいるが、俺には大した問題にもならない。

俺は右手にピックを構えると、投剣スキルの基本技《シングルシュート》のモーションを起こした。

徹底的に鍛えた敏捷度パラメーターによって補正された俺の右手は稲妻のように閃き、放たれたピックは一瞬の輝きを残して梢の陰に吸い込まれていった。攻撃を開始した途端にラビットの位置を示していたカーソルは戦闘色の赤に変わり、その下に奴のHPバーが表示されている。

ピックの行く末を見守る俺の耳に、一際(ひときわ)甲高い悲鳴が届き、HPバーがぐい、と動いてゼロになった。ポリゴンが破砕(はさい)する聞き慣れた硬質な効果音。思わず左手をぐっと握る。

即座に右手を振り、メニュー画面を呼び出す。パネルを操作する指ももどかしくアイテム欄を開くと、果たして新規入手品の一番上にその名前があった。《ラグー・ラビットの肉》、プレイヤー間の取引では10万コルは下がらないという代物だ。最高級のオーダーメイド武器を(しつら)えても釣りが来る額である。

そんな値段がつく理由はいたって単純。この世界に存在する無数の食材アイテムの中で、最高級の美味に設定されているからだ。

ほとんどのSAOプレイヤーは、食べることのみが唯一の快楽だと思っている。普段口にできるものと言えば、パンやスープばかりで、ごく少ない例外が、料理スキルを選択している職人プレイヤーが少しでも幅を広げようと工夫して作る食い物なのだが、職人の数が圧倒的に少ない上に高級な食材アイテムが意外に入手しにくいという事情もあって簡単に食べられるものでもなく、全てのプレイヤーは慢性的(まんせいてき)に美味に飢えているという状況なのだ。

俺個人としては、行きつけのNPCレストランで食べるパンやスープで充分に満足してるが、たまにはもっと美味いものを食してみたい、と時々思ってしまうことがある。

ラグー・ラビットを一度は食してみたいとは思うが、俺の持ってる料理スキルではとても扱えるような食材ではない。食材アイテムのランクが上がるほど料理に要求されるスキルレベルも上昇するため、誰か達人級の料理職人プレイヤーに頼まなくてはならな
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