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神剣の刀鍛冶
EPISODE02勇者T
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いを見据えたままの膠着状態を保っていた。

(行くぜ!)

空気の均衡状態を崩したのは凱だった。
大地を蹴り、駆け抜ける様は一陣の風よりも速い!
目の前の標的に対して一気に距離を縮める!
互いが持ち合わせている物は……無い!
というよりも、拳だけが二人の唯一の武器!

「うおおおお!」

「フン!」

交錯する鉄拳!
聖剣、もとい正拳が両者の身体に轟突する。凱はハンニバルの腹部に拳を直撃、ハンニバルは凱の下顎から拳を振り上げる。

「ぐっ!!」

先にひるんだのは凱だった。ハンニバルの剛腕に、たまらず凱の身体は豪快に空中へ放り出される。

「決まった!流石ハンニバル団長だ!」

「これでヤツも終わりだな!」

半数以上の団員が同じ結末を予想するが、一人だけ冷静に二人の戦いを分析する団員がいた。

「どうした?レジナルド」

「……いや、まだだ!」

レジナルドの発言に、他の団員の注目を集める。
空間の斜め後方へ吹き飛ばされる形になったが、凱は地滑りされつつも、即座に態勢を立て直す。
まるで、ハンニバルの剛腕が何とも無かったかのように。
凱の双眸は臆した様子を見せず、戦意を露わにしている瞳をハンニバルに差し向けた。
片手で受け身を取り、片手だけの瞬発力で再びハンニバルに肉薄する!

「うおおおおお!」

獅子の如き咆哮と共に、凱はその拳をハンニバルの顔面に差し向ける!
しかし、それは虚しくも空振りという結末に終わる!
なぜなら、ハンニバルは「消えた」と思わせる程の動作で体移動をしていたからだ!
そして再び凱に轟襲するのは、丼のようなハンニバルの大拳骨!
隕石と錯覚させるような大拳骨は、確実に凱の頭部を捉える……はずだった!

シュカッ!――

凱もまた、「消えた」と認識させる程の速度でハンニバルの大拳骨を回避!見事にいなす!

「そこだぁ!」

ハンニバルの側面がガラ空きだ!この勝機を逃す手立てはない!
凱の拳がハンニバルという怪物の顔面に直撃!

「ぐおっ!?」

拳の重量と速度でハンニバルの巨体はたまらず後ずさりする!
頬に妙な違和感が生じる!
三番街自衛騎士団団長、ハンニバル=クエィサー自身の血が伝っていた!
自らの血で汚れた巨大な十字傷を背負った頬を軽く拭う。それは、久しぶりに強敵と巡り合えた事を確かめる動作でもあった。

「フッ……面白い!」

まさかこれ程とは……と思わざるを得ない。
――代理契約戦争――という修羅場を潜り抜き、数多の難敵を屠り倒してきたが、人間でここまで実力を持つ者とは遭ったことはない。
人間をはるかに超越した戦闘力をもつ人外や悪魔なら分かる。
だが、今立ち会っているのは間違いなく人間だ。
これ
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