暁 〜小説投稿サイト〜
仮面ライダーAP
第一章 鉄仮面の彦星
第6話 仮面の戦士
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 怪人はアウラに覆い被さらんと、駆け出した。そんな悍ましい怪物の猛威に怯むことなく、アウラは持ち込んでいた煙幕で姿をくらます。

 だが、エチレングリコール怪人は諦めることなく、彼女を探し回る。びちゃりびちゃりという音が、ますます激しくなっていった。

 やがて煙幕を抜け出し、獣欲に爛れた瞳でアウラを見据え、執拗に付け狙うエチレングリコール怪人。

「ふふふ、くはははは!」
「くッ……!」

 狂うように笑いながら、あっさりと彼女に追いついてしまった彼は――彼女の柔肌を手に入れようと、その手をゆらりと伸ばし……。

「はああっ!」
「ぐおっ――ぁあぁぁあッ!?」


 突如、コンクリートの壁をぶちやぶり現れた――もう一人の異形の者に、跳ね飛ばされてしまった。
 白く輝くバイクの体当たりを受けたエチレングリコール怪人は、その身を激しく吹き飛ばされていく。

「ぐぬぅッ!?」

 自らを覆う粘液を撒き散らしながら、彼の体はぐちゃりとコンクリートの床にたたき付けられてしまう。

 粘液の存在が多少は衝撃を緩和したようだが、それだけでダメージが無くなるわけではない。

 痛む箇所を押さえながら、粘液を纏う怪人は、颯爽と現れ、自らを襲った人物を睨み据える。同時に、アウラは自分を救った仮面の戦士に目を奪われていた。

「遂に現れたな……!」
「あ……あな、たは……!」

 純白のオフロードバイク。

 赤と黒の配色を持つ、シャープなスタイル。

 左足に伸びる真紅のライン。

 金色に煌めく大きな複眼。

 バックルに納められた、一つのワインボトル。

 そして――胸と複眼に輝く「G」の意匠。


 シェードが最も恐れ、最も危惧すべき戦士――「仮面ライダーG」。その凛々しくも雄々しい姿が日の光を後光にして、まばゆい輝きを放つ。

「あの事件から7年。よくもこれまでのうのうと生きて来たものだ! 我々の相手をしながら……」

 息を荒立てるエチレングリコール怪人を尻目に、Gは悠然とバイクを降りる。

 ――そこには、確かな歴戦の貫禄があった。

 静かな足取りで、ある程度の距離まで近づくと、彼はようやく重い口を開く。

「どこまでも生きていけるさ。この世界を守ると、約束したのだから。彼らと――彼女と」

 孤独な愛の戦士の脳裏に、7年前の戦いが蘇る。

 テレビ局での、かつての恋人だった日向恵理(ひなたえり)との運命の再会。
 思い出のワイン。洗脳からの解放。
 彼女を守る決意。裏切り者の烙印。
 隊長格の織田大道(おだだいどう)との死闘。

 そして、10人の仮面ライダーとの出会いと、激励。

 あれから7年間。洗脳されていた時の犯行声明が
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ