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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百七十八話 改革者達の戦い
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いません」
「三年、いや二年半我慢できますか?」

二年半? 司令長官の言葉に思わずブラッケと顔を見合わせた。ブラッケが頷く、我慢は可能だろう、しかし二年半で人材を確保すると言うのだろうか。それとも他に何か思うところが有るのか。

「それは可能だと思いますが、二年半後には人材を確保する手段が有るという事でしょうか、ブラッケの希望する人材のレベルは低くはありませんが?」
「ええ、多分それなりの人材を用意できると思います」

それなりの人材、司令長官には当てが有るようだが、一体何処に……。
「閣下、それは?」
「自由惑星同盟にいますよ、ヘル・リヒター」
「!」

自由惑星同盟! 司令長官は悪戯っぽい表情でこちらを見ている。
「内乱終結後、一年は内政に専念しなければならないでしょう。しかし、その後は宇宙統一のために軍事行動を起します。フェザーンを占領し、同盟を保護国化する……」

「……」
保護国化した後は三十年かけて帝国の改革を推し進め、自由惑星同盟が帝国との併合に不安を抱かないレベルにまで国内を整える、司令長官の持論だ。

「その後で同盟から人を呼べば良いでしょう。同盟のほうが帝国より社会政策は進んでいます。無理することなく見つけることが出来ると思いますよ」

「しかし反乱軍、いや同盟が協力するでしょうか?」
「和平条約の条件に入れれば良いでしょう、ヘル・リヒター。帝国と同盟は人材の交流を図ると」
「……」

「同盟から人を受け入れるだけでなく、帝国からも人を派遣する。同盟の社会政策を自らの目で確認できるのです。得るものは大きいはずですよ。その外に帝国への移住者を募れば良い。既に帝国で仕事をしている人間がいるとなれば、移住に積極的になってくれる人物もいるでしょう」

なるほど、先駆者がいるとなれば後に続くのは難しくは無い。それに同盟にも帝国という国家を作ってみたいという人間がいるかもしれない。国家を作るなどというのは先ず有り得ない事だ。それが目の前で起きた、自らの手で国家創造を行なう、その魅力に逆らえる人間がいるだろうか……。

それにいずれは同盟の社会政策を見た人間も帝国に戻ってくる。彼らも戦力として当てに出来るだろう。そして彼らを使っている間に帝国内でも教育を受けた人間達が育ってくる……。上手く行くかもしれない。

隣に座っているブラッケも唸りながら頷いている。彼も上手く行くと思っているのだろう。
「彼らを受け入れて改革を行なうのは絶対に必要です」
「絶対に必要? それは、どういうわけです?」

私の問いに司令長官は少しの間黙って天井を見ていた。
「帝国が同盟を併合する場合、同盟の人間にとって一番不安に思うのは帝国の政治が国民の権利を何処まで保障するのかという点でしょう。だから同盟出
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