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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第二十七話 起死回生の一手
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戻したように艦列に戻っていった。
「葛城さん。艦載機の扱いは大丈夫そうですか?」
鳳翔が尋ねた。
今回の出立に当たり、葛城に大急ぎで艦載機を渡したのだが、彼女がそれを使えるかどうかは未知数だった。
「わ、わかりません。でも大丈夫です。鳳翔さんが下さった艦載機、絶対うまく発艦できるように頑張りますから!」
葛城は顔を上気させていた。
「そんなに力みすぎなくていいですよ。力を抜いて自然体でいれば離発着や攻撃指令などはすぐにできるようになります。」
「はい!」
葛城は髪をなびかせながらうなずいた。大先輩の鳳翔から励ましの言葉を受けただけで、もう充実した気持ちになっている。だが、その気分は前方の黒々とした影を発見して吹き飛んだ。夕日を背にしているため、逆光で識別が不可能だったからだ。
「あれは?」
身構えた葛城を鳳翔は制した。
「心配しないで。味方です。」
一人海上にあって味方を待っていたのは綾波だった。
「お疲れ様です!」
「準備の方は?」
と、鳳翔。
「はい。既に輸送船団の進発は完了しました。」
「ご苦労様でした。私たちもすぐに向かいます。」
「こちらに。」
綾波に案内され、一同は進路を変えて西に向かった。ほどなく夕日は沈みあたりは真っ暗になった。だが、誰も灯火を付けようとしない。わずかに鳳翔の腰にあるごく小さな赤いライトが点滅しているだけだった。艦娘たちはそれを目印に、各人の間を慎重にとって進んだ。鎮守府時代に無灯火の航行訓練は受けていた艦娘たちだったが、これほど緊張した航海は初めてだった。
「鳳翔さん。」
そっと小声で話しかけられて、鳳翔は綾波を見た。
「どうしましたか?」
「あ、いえ・・・こんな時にこんなことをと思われるかもしれませんが・・・・。」
綾波は心持顔を赤らめたようだった。なぜか暗闇の中でも鳳翔にはそれがわかった。
「私、ようやく鳳翔さんのお役に立てます。今度の作戦で私、頑張りますから!」
『ようやく』の意味を鳳翔は理解するのにしばらくかかった。
「初陣の時、鳳翔さんに命を救われました。ずうっとずっとその時のご恩返しをしたいと――。」
「そんな必要はありませんよ。誰しもが『初めて』を経験し、成長していくものです。私はその過程に立ち会っただけ、綾波さんがここまで成長できたのは綾波さん自身の力であって、私のせいではありません。」
「でも、私は鳳翔さんとご一緒できてとてもうれしいです。」
一瞬白波が月明かりを反射し、綾波の笑顔は鳳翔の眼に映った。とても純粋で美しいと鳳翔は思った。
「ありがとう。でも無理をしないでください。先は長いですし、この作戦が終わってもまだまだやるべきことは沢山あるのですから。」
「はい!」
綾波はうなずいた。

 それからは一行はずっと無言だった。

「見
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