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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第二十七話 起死回生の一手
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も実行する価値はあると思うな。」
「ですね。」
鳳翔はうなずいた。
「わかりました。作戦行動詳細を整え次第、提督に意見具申して決済を受けます。よろしいですね?」
皆はうなずいた。
「だが、肝心の艦隊編成はどうするのだ?」
日向が尋ねた。
「とても一個艦隊で護衛できるような物量ではないぞ、これは。」
「ついでながら。」
両腕を抱くようにして組んでいた足柄が地図から顔を上げて鳳翔を見た。
「今回の輸送作戦では、敵艦隊と輸送船団との間のいわば『盾役』が必要になるわ。」
「そのためにも護衛艦隊は相当の人数を割いた方がいいと私も思うわ。どう対処するおつもりですか、鳳翔さん。」
と、天津風。
「その件に関しては提督から既に了承を得ています。」
鳳翔はきっと顔を上げた。
「私たち全員で行きます。」
「全員ですって!?」
葛城が叫んだ反駁の言葉が会議室に響き渡った。
「ええ。この作戦は私たちだけの問題ではありません。ヤマト全体の問題です。極論すれば呉鎮守府を犠牲にしてもヤマトを守り抜かなくてはならない。ヤマトが全滅して呉鎮守府が生き残っても何の意味もありません。」
覚悟はいいですね、と述べた鳳翔の体から闘気が漂っていた。


 その1時間後――。
鳳翔、伊勢、日向、天津風、足柄 葛城はひそかに出立した。既にあたりは夕闇が迫り、美しいオレンジ色の残光がかすかに残っているだけだった。既に輸送船団及び護衛部隊は出立しており、物資の積み込みも始まっているはずである。各隊も順次島を目指すこととなっていた。
「大丈夫かしら?」
足柄が不安を隠せないらしく、せわしげに髪をかき上げると、鳳翔のそばにやってきた。
「ねぇ、鳳翔さん、本当に大丈夫なの?こんな作戦前代未聞よ!」
「大丈夫です。提督の許可は下りていますし、何よりこうでもしなければ物資を輸送できません。」
「それはそうだけれど!でも、それじゃ――」
「足柄。」
日向がちらと目を向けた。
「大丈夫だ。この作戦は必ず成功する。いや、させて見せる。」
日向はまるで日常の挨拶でもするように言ってのけたが、足柄は驚いた。そんな大言を吐くなど今までの日向ではなかったことだからだ。
(なるほど、今度の作戦はそれだけ死命を制することになるというわけか・・・・。)
風に髪をなびかせながら足柄は同行者たちをみた。伊勢、日向、鳳翔、天津風、葛城。そして今回の作戦に従事する艦娘たち、輸送艦隊とその乗組員。

全てが自分の命を賭けて大切なものを横須賀に送り届けようとしている。たとえその先にあるものが――。
足柄は首を振った。そんなことを考えてはいけない。物資を運ぶこと、そして皆が生きること、これだけを考えればいいのだ。
(いいわ!燃えてきた!)
足柄は一人うなずくと、落ち着きを取り
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