暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
Where there’s smoke, there’s fire.
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「あんたぁ……猫妖精(ここ)潰す気かぇ?」

突き放すような言葉。

突き飛ばすような言葉。

その言葉はきっと、役職上の仕事として役目を消化している執政部の者達にはそこまで刺さらないだろう。

いつだってこのどうしようもない種族のことを思い、行動してきたこの小さな領主にこそ、突き刺さる言葉だったろう。

刃物を突き刺されたような表情。

サラマンダーの精鋭達との一悶着――――魔法飛び交う乱戦の中でも指揮官クラスのプレイヤーとして一線を守り、冷静を貫き通していた顔が、ヒスイの言葉でグシャグシャに引き裂かれた。

「ッ違うヨ!こうでもしないとサラマンダーが黙ってないでしょ!」

「………………」

「私は!私はヒスイちゃんとは違う!私は領主なんだヨ!《とりあえず》で領の皆に降りかかる火の粉は払わなきゃなんない義務があるんだヨッ!!」

滅多に聞かない領主の怒声に黙る――――否、黙らされたヒスイに一瞥を投げかけ、アリシャは執政部を連れて踵を返す。そこには、会話の余地はないという拒絶の意思を感じさせた。

気心知れた友人としてではない。一人の領主としての仮面を被った小柄な王は、鋼のような冷たさを持つ言葉を吐き捨てる。

「フェンリル隊はほとぼりが冷めるまで一切の戦闘行為は禁止。フェンリル・ラウンダーの外部持ち出しもダメだヨ」

ドアを開けたところで立ち止まり、アリシャは顔だけこちらに向けた。

「少なくとも、イチイの花が葉っぱになる頃まで……ネ」

「?」

意味深長な言葉に首を傾げるヒスイの前で、僅かに目を笑みの形に細めたアリシャは静かに扉を閉めた。










領主館から出てきたヒスイを見、隊員達は次々と声を上げた。

「副長……」

「どう、なったんでござるか?」

「フェンリル、どうなっちゃうの?」

口に出るのは種類は違えど皆不安だ。

当然だ。おそらくはヒスイがいない間に執政部関連の者に詰問されたのだろう。よほどニブくなければ、自分らに対して何かおかしな流れが作られ始めていることに気付くはずだ。

だからこそ、その疑念に疑念で返したら取り返しがつかなくなってしまう。

ヒスイは導く役目として、無理してでも取り繕おうとする表情を押し込め、ありのままをブチまける。

「フェンリル達はしばらく出禁やな。当分の間、宿舎から出させられないかもしれん」

「そんな!」

「それって監禁もいいトコじゃない!」

「……ひどい」

穏和とはとてもではないが言えない喧々諤々とした怒号の嵐が過ぎ去るのを待ち、ヒスイは手を上げる。

「皆の言い分ももっともや。けど、今はアリシャちゃん達もカッカしとる。抗議はまた明日、じっくり
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