暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
優しさに触れる
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「……は?」
「ですから、ティアさんの初恋ですよ!ジュビアはずっと気になって気になって…!」
「気にするような話かしら」
「最重要事項です!」

ぶんぶんと首を縦に振るジュビアの向かい、好物のアップルパイにこれまた好物の炭酸を並べたティアは心底不思議そうな顔で首を傾げた。フォークを銜えてこてりと首を傾げる様がやけに可愛らしい。
カトレーンの一件以降相棒との二人暮らし(の割にほぼ同居してるレベルでクロスがいたりする)を始めた彼女の、弟の姉を想う気持ちとそれに振り回された従者達によって用意された一軒家。二人で暮らすにはやや広い気もするこの家のリビングで、青髪青目、同い年の水を操る女魔導士二人はいつものように女子会絶賛開催中だった。
女子会、といっても参加人数は基本二人。これを女子会と言っていいのかがティアには密かな疑問だが、「女の子が集まれば基本女子会です!」とジュビアが言い切ったのだからそうなんだろうな、と曖昧に納得していたりする。
魔法の事ならジュビアの上を行くティアも、女子らしい話題に関しては全く勝てる気がしないのだった。

「それでっ、いつの頃の話ですか?ギルドに入ってから?お相手は?ナツさんですか、それともグレイ様?ああでもヴィーテルシアさん?ライアーさんもいますしスバルさんとか……はっ、クロスさんとクロノさんも!?い、いやでもあのお二人は血の繋がった兄弟ですし…!」
「え、ちょ…少し落ち着きなさいな。というかクロスと兄さんは有り得ないでしょう」

兄の方はともかく弟の方が聞いたら一瞬で灰になっていそうな一言を特に意識もせず吐きながら、スイッチが入ったのかヒートアップするジュビアを宥める。ティアが唯一友人と認めるこの少女は年相応に恋の話が好きなようで、一度自分の世界に入り込むと引きずり出すのが難しい。
どうにか自分の世界から帰還したらしいジュビアが落ち着きを取り戻した頃に、ポーカーフェイスを僅かに困惑で崩しながら言う。

「それに…あれが所謂恋なのかは自分でも解らないんだもの。誰かを好きになる気持ちは解るわ、ルーだのアルカだのが近くにいるから。私にだって好ましいと思える人はいるけれど、それは恋とは違うんでしょう?」
「うーん……まあ、そうかもしれません。ルーさんはルーシィに恋してますけど、ティアさんの事も好きでしょうし」
「そう、そういう感じ。身内としての好き、相棒としての好き、友人としての好き……それならまだ理解が出来るわ。それと恋が違う事も、アンタ達を見てれば解る。けど、あの時私があの人を見て思った事が本当に恋だったのか、それは解らないの」

ティアは人からの愛情に疎い。
勿論、それがルーのように解りやすければ話は別だ。会う度に飛びつき抱き着いてくる上に「ティアの事も大好きだよー!」なんて叫ばれていれば
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