暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
優しさに触れる
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レメントマジック)を習得出来るほどには。
それから、巫女としての完成。沢山の魔法を知る事によってそこから新しい方法を構築して、異常な私でも歴代の巫女のように願えるようになれって訳ね。……まあ結局、私はその目的を早々に放棄したのだけれど。だって面倒だし。

…ああ、別にいいのよ。異質異常なんて、自覚のある事だもの。
だからそんな暗い顔しないの、それじゃあグレイも惚れないわよ?


話が逸れたわね。
とにかく、私は魔導士ギルドに所属する事になった。前々から魔導士に憧れてた兄弟が―――特にクロスが頼み込んで、アイツ等の方も所属を許された。
本当は別のギルドの予定だったんだけど…私とした事が二人と会ってしまって、今度はアイツ等二人で説得して、結局同じギルドに行く事になったの。

あの頃は私、兄弟と会うなって言われてたから。そもそもアイツ等には、私の存在すら伏せられてるはずだったんだけど……まあ私の存在ってひそひそ話すには持って来いだし、使用人達が話してるのを聞きでもしたんでしょうね。

……まあ、今はクロスと兄さんの話じゃないし、ここまでにしておくけど。
私があの人と出会ったのは、まだフルールがイスバンにあった、そんな頃だった。






つるっ、と。
気づけば足が滑って、気づけば積もった雪の上に倒れていた。

「……は…?」

倒れた先が柔らかな雪の上だったからか、痛みは特にない。ただ全身を刺すような冷気が包んでいるくらいで、それすらもこの辺りに住む身としては大したダメージにはならなかった。
だからこの状況で真っ先にティアが思ったのは、今一体何が起きたのか、という一点だった。

「……転んだ?…私が……?」

むくりと体を起こし、呆然と呟く。座り込んだまま足で雪を退かして下を見れば、水溜まりでも凍ったのか透き通る氷に映る自分と目があった。
どうやら自分は雪に隠れたこれで足を滑らせたらしい。雪を踏みしめる感覚で歩いていたところに氷では、まあ滑るのも当然と言えるだろう。誰がやった事かと考えて、誰の陰謀でもないのだろうと結論付ける。ここの使用人は何かとティアに対して悪事を働くが、かといってこんな面倒な事をするほどこちらに関心がある訳でもない。身内であればもっと違った手を打つだろう。
そう頭では考えながらも、ティアはそれ以上動かない。誰が仕組んだ訳でもないと解った上で、余計に辺りに意識を集中させる。

(誰かが仕組んだ事に引っかかったならまだいい。どうせどこかでニヤニヤしながら私を見てる奴がいるだけで、それを蹴り潰せばいいだけだもの)

そう、それならいい。どこかの誰かが原因なら、こちらにはその誰かを叩き潰す理由が出来る。
だけど。

(だけどこれは違う…誰も何もしていないところでこの有り様
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