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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第五十三話 長旅は退屈なのです。
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ルビンスキーは短く笑うと、その大柄な体をソファーにゆだね、グラスにブランディをそそぐと、ぐっと一気に飲み干した。さっきまで消えていた赤みがルビンスキーの顔に戻ってくる。
「無駄だとわかっている事柄に時間をつぎ込むほど、私は暇ではないのだがな。だが、これもいい機会だ。そう思わんと気持ちが保てん。帝国同盟双方にいかなる英雄が存在するか否か、それを見に行くのも一興だ。」
「それはいいけれど、後のことはどうするの?」
「今回の事はフェザーンとしては対岸の火事として済ます予定だった。だが、事はそううまくは運ばん。自治領主府の主だった人間はつれて行き、留守を遺漏なくこなせる程度の小物を残していくとしよう。主が不在の間に家を乗っ取られるというのははなはだ不名誉なことだからな。」
「フェザーン最大の喜劇でしょうからね。それで、誰を残すの?ボルテック?」
「駄目だな、奴は色気がありすぎる。私の不在を狙って、独自のコネクションを作ろうとするだろう。」
「では、誰を?」
「まぁ、その辺りは今決めなくてもいいだろう。」
急にルビンスキーはあいまいに言葉を濁した。
「とにかくそういうわけだから、旅支度をしておいてほしい。」
ドミニクはすっとテーブルから脚を柔らかな絨毯に降ろすと、ルビンスキーに目もくれず、室外に姿を消した。ルビンスキーは何も言わなかった。ドミニクのこういう性格については長年つれそって、すっかり慣れっこになっていたからだ。
(いずれにせよ、我がフェザーン、いや、私にとって今回の事が最大限良い方向に向かうよう、せいぜい務めるとするか。)
彼はもう一度酒瓶からグラスにブランディを注ぐと、ぐっと一杯飲みほしたのだった。

 和平交渉使節は、帝都オーディンを出立し、メルカッツ提督率いる3万隻の大艦隊の護衛を受けて、惑星フェザーンを目指していた。最終的にそこで補給を受けたのち、護衛艦隊は引き揚げ、後は500隻の和平交渉使節団とフェザーンの調停役の船団のみで進むこととなる。双方が刺激しあわないように、申し合わせは幾度となく入念に行われていた。一歩間違えれば、双方が戦闘状態に入りかねないピリピリした空気である。これらの日程の打ち合わせ、すり合わせには細心の注意が払われ、一段落した時にはまるでこれらが交渉の主題であったような錯覚を双方に覚えさせたほどだった。
 この間主要な貴族や閣僚らは幾度か会議を行って外交方針を話し合っているが、概してその長期航海は暇な時間が多かった。四六時中時間つぶしの為だけに話し合いをするのは、まさに「小田原評定」だからである。
 そういう時にはラインハルトはキルヒアイス、ミュラー、ロイエンタール、ミッターマイヤー、フィオーナ、ティアナ、そして時にはベルトラム大佐やザイデル軍曹ら、そして希望する者がいれば抽選と簡単な面接を経たうえ
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