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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百五十九話 帝国内務省
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社会秩序維持局はどうだ、何か動きはあるか」
「駄目ですね。司令長官と会ってからもう一度彼らの動きを追ってみました。しかし……」
「収穫は無しか」

キスリングが力なく頷く。そして戸惑いがちに訪ねてきた。
「閣下、社会秩序維持局は本当に動いているのでしょうか?」
「情報部と憲兵隊は司令長官の側に立っている。ローエングラム伯、いやオーベルシュタインが情報収集、破壊工作を仕掛けるなら軍の外に協力者を作るしかない。内務省だ」

「それは小官も分かります。しかし、今閣下が仰られた事はオーベルシュタイン准将から見た場合でしょう。社会秩序維持局がローエングラム伯に勝ち目が無いと見て、手を引いたという可能性は有りませんか」

何処と無く自信のなさそうな表情だ。キスリングは疑心暗鬼になっている。余りに動きがないことで自分が無駄な事をしているのではないかと思っているのだ。そのことが彼を不必要なまでに疲れさせている……。

「一理有るがその可能性は小さいな。キスリング准将、社会秩序維持局に拘るな。相手を内務省として見たほうが良い」
「どういう意味です」

キスリングは困惑した表情をしている。いかんな、少しオーベルシュタインに囚われすぎているのかもしれない。本来はもっと鋭い男なのだ、それとも老人達の毒気に当てられたか……。
「内務省は今強い危機感を持っているはずだ」
「……」

「昨年、陛下がお倒れになった時の事を覚えているか」
「ええ、司令長官が帝都防衛司令官代理になったときのことですね。もちろん憶えています。当事者だったのですから」

「おかしいとは思わなかったか、内務省が全く絡んでいない事に」
「それは……」
キスリングが言葉を続けようとして口を閉じた。眉を寄せ考え込んでいる。

「内務省は警察を握っている。オーディンの警備なら当然警察を使用しても良かった。しかし司令長官はあの時全く警察を使わなかった。使ったのは憲兵隊、そして装甲擲弾兵第二十一師団だ。何故だと思う?」

「……閣下は過去の因縁が原因ではないというのですね」
「真の原因は司令長官が内務省に持っていた不信感だ。司令長官は内務省が貴族よりの組織で当てにならないと思った。自分の両親が殺された事件で犯人が見つからなかった、その事で嫌というほど認識したのだ」
「なるほど」

「卿が気付かないのも無理は無い。私も最初は疑問に思わなかった。司令長官はオーディンを完全に制圧していたからな。そのことが不思議に思わせなかったのだろう。だが内務省は自分達が信用されていない事を思い知ったはずだ」
「……」

「キスリング准将、ルドルフ大帝が銀河帝国を創設した当時、帝国内部に存在する共和主義者を中心とした反帝国勢力を弾圧したのは軍ではない、内務省配下の警察、社会秩序維
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