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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百五十九話 帝国内務省
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攻からフェザーンを守ろうとすれば最低でも四個艦隊はフェザーン方面に送る必要があります。その分だけイゼルローン方面は手薄になる」
微かにヴァレンシュタインが笑うのが見えた。

「フェザーンを陽動にすると言うのか? だがイゼルローン要塞が落とせるのか? あれを落とすのは容易ではないぞ。最悪の場合、帝国軍は両回廊で大きな損害を受ける事になる」

私の問いにヴァレンシュタインは笑みを浮かべながら答えた。先程までの沈鬱な表情は無い。
「イゼルローン要塞を落とすのは可能です」
その言葉に皆の視線がヴァレンシュタインに集中した。

「どうやって落とす」
「ガイエスブルク要塞を使います」
「?」

皆が訝しげな表情をした。ガイエスブルク要塞? あれを使うというのはイゼルローン回廊にもって行き攻撃拠点として使うということか、しかしだからと言って落とせるわけではない。

「あれをイゼルローンに持っていって、要塞にぶつけます」
「! ぶつけるだと、要塞に要塞をぶつけるのか?」
リヒテンラーデ侯が驚いたような声を上げた。思わず、エーレンベルク元帥と顔を見合わせる。驚いたような表情をしている、私も同様だろう。

「ええ、物理的にイゼルローン要塞を壊すのです。要塞内の艦隊も一緒に壊滅させる事が出来ます。まあ実際にぶつけなくても、そう言って反乱軍を脅せば条件次第では開城させる事も出来るでしょう」

「なるほど、イゼルローン要塞が落ちれば反乱軍はフェザーンから撤退せざるを得ん。そこを追撃すれば大きな打撃を与える事が出来るだろう」
「うむ、帝国はイゼルローン、フェザーン両回廊から反乱軍の首都ハイネセンを攻撃する事が出来る」
「帝国軍の勝利は間違いないの」

国務尚書、エーレンベルク元帥と話しながら、黙って微笑むヴァレンシュタインを見た。相変わらずとんでもない事を考える男だ。だがこれでフェザーン方面からの攻撃作戦を悩まずに済む。後はどれだけ早く内乱を終結させる事が出来るかだろう。早ければ再来年には反乱軍を降伏させることが出来るに違いない……。



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