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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百四十七話 絆
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ではない、あの改革の本当の狙いは貴族達の力を削ぐ事にある。改革が実施されれば、多くの貴族が何の力も無い無力な存在になるだろう。当家も例外ではない」

「お爺様、いえ陛下は何故そのような事を」
「宇宙を統一するためだ。これ以上の戦争を無くすためには我等貴族の特権を廃止せねばならない、そう陛下はお考えになっているのだ、サビーネ」

「……」
この娘には難しいかもしれない、まだ十四歳なのだ。しかし、話しておかなければならん。自分達の危うさを理解してもらわなければ……。

「ここ最近、多くの貴族達が此処にやってくるが、あれは暗に陛下への反逆をけしかけているのだ」
「!」

二人の目がこれ以上は無いほど大きく開かれる。良く似ている、こんな時だが二人が良く似ていることに改めて気付かされた。私が二人の肩を手で押さえると縋り付く様な視線を向けてきた。大丈夫だ、そんなに心配をするな。

「彼らは一応名目としては君側の奸、リヒテンラーデ侯、ヴァレンシュタインを排除し、ルドルフ大帝の定めた国是を守る、そう言っている」
「貴方、私達を返すというのは、まさか……」
何処か震えを帯びた声でクリスティーネが訪ねてきた。

「違う、早とちりするな。私もブラウンシュバイク公も反乱を起すつもりは無い。今のままで戦えば負けるのは目に見えている。何とか戦わずに済む方法は無いか、戦うのであればどうすれば勝てるのか、今考えているところだ」

納得していないのだろう。二人とも不安そうな表情を隠そうとしない。いかんな、私はどうも信用が無いようだ。
「では、何故私達を?」

「危険だからだ。貴族達は押さえが利かなくなっている。私がこれ以上反逆を躊躇えば私を殺し、犯人はヴァレンシュタインだと騒ぎ立てるだろう。そしてお前達を担ぎ上げ反逆を起すに違いない。お前たちは陛下の御血筋でもある、担ぎ易いのだ」
「そんな!」

「それを防ぐにはお前達を陛下の元に返すしかないのだ」
「……」
二人とも眼に涙を浮かべている。胸が痛んだがそれを無視して話を続けた。

「お前達が居なければ、私を殺してもリッテンハイム侯爵家を反逆の盟主として利用する事は出来ん。分かるな、我等が生き延びるにはこうするしかないのだ」

「貴方……」
クリスティーネの縋りつくような口調が耳を打つ。こんな声は聴きたくない。何時ものような我侭な声のほうが何倍もましだ。

「お前達は、改革を止めさせるために陛下を説得に行くということになる。だが、何もしなくて良い。お前達はこの件に関しては一切関わってはならん、良いな」

出来るだけ、笑顔を浮かべて穏やかに話した。三人で話すのはこれが最後になるかもしれない……。

「私はお前たちにとって良い夫でも良い父親でもなかったかもしれん。だが私はお
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