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SAO−−鼠と鴉と撫子と
7,弱者の誓い
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「クロちゃん、モンスターもリポップするんダ。悲しむのはあとじゃないかナ?」

ポリゴン片が1ピースも無くなったというのに動かない俺をみて、アルゴが声をかけてくる。
既にヤヨイもアルゴも最後のリトルぺネントを打ちとったようで、辺りには静寂が溢れていた。

「いきたいなら行けよ」

ああ、何で俺、こんな返事しかできないんだろう。気付いた時には言葉が漏れていて、もう止められない。
言葉が堰を切った様に溢れでてくる。

「俺のせいで、今、人が死んだんだぞ。俺があとほんの一瞬速ければ、レイズさんはーー死なずに済んだんだ。それなのに、それ……なのに……」

途中から嗚咽で声が回らなくなってくる。

「茅場ぁぁぁぁぁ。これがオマエの望んだ世界かよぉ。ホントに望んだ世界かよぉ」
愉しんでんのかぁ、笑ってんのかぁ。

もう何も分からず、持っている短剣を闇雲に振り回す。出てくるのは<IMMORTAL OBJECT>という虚しい表示だけ。
くそ、くそ、クソ、クソ。

こんなの来たかった世界じゃない。
俺の望んだSAOはもっと……もっと……

ーードサァァ

不意に後ろで重いものが倒れる様な音がした。ユックリと振り返ると、ヤヨイが少し後方でうつ伏せに倒れている。
「……ヤヨイ?」

思わず、短剣を手放して駆け寄った。
このままでは彼女までポリゴン片に変わってしまう。そんな恐怖が体の中から這い上がってくる。
「ヤヨイ!!」

……息は、ある。
ユックリと抱きかかえるが、体が崩れていくことはなく、彼女のままで持ち上げることが出来た。
左端のHPゲージを見れば、ほんの数ビットだがしっかりとゲージが残っている。
よかった、生きてるんだ。

口がもぞもぞと動き、何かを口にした。
―め――さい

「ェ?」
「クロちゃん、落ち着いたカ?」
「−−ああ、アルゴ。とにかく近くの街まで運ぼう。手伝ってくれ」

言い終わると同時に、ヤヨイの体を持ち上げようとするが、ここで筋力パラメーターが足りていないことに気付く。
アルゴの方も、確かAGI極振りだったはずで、いくら弥生さんが痩せ型とはいえ、運ぶのは厳しいだろう。

「……これはサービスでおしえてあげるヨ。こんな裏技があるんだナ」

そう言ってアルゴがオブジェクト化したのは、一般的な寝袋。ああ、そういやβテスト時代にもあったね。そんな裏技が……

「それじゃ、運ぶとするか、とその前に」
落とした愛刀を頼りに、先ほどの位置まで戻る。そのまま、膝をつき、あるはずのない魂のために俺は眼を瞑った。

ーーレイズさん、すみません。弥生さんだけは、必ず俺が守ります。

本当に短い時間、祈りを捧げたあとで俺は眼を開けた。
リポップまでの時間もそうない。今す
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