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第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#4
DEPERTURES 〜旅立ち〜
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は同じだと信じるコトが出来たから。
 心の中を充たす、奇妙な実感と共に。
「……」
 沈黙の中、少女は黒衣の内側にその細い手を伸ばし、
手にしたモノを青年へと差し出す。
「……」
 青年は少しだけその視線に力を込め、差し出された袋を見る。
「あげる。おまえ、昨日から何も食べてないでしょ」
 カラフルなプリントが施されたメロンパンの袋を青年に向けながら、
少女は凛とした声と風貌でそう告げる。
 市販品では一番好きな銘柄の、とっておきの一個。
 本来ならどのような 「宝具」 の山を積まれても、
絶対に等価交換など在り得ない逸品だが、
でもそういうモノだからこそ意味が在る。
「……」
 青年は無言のまま少女から差し出された袋を手に取り、
しばし眺めた後袋を破り中身を取り出す。
 砂糖と香料が適度に焼けた、何とも形容し難い甘い匂い。
 反射的にうっ、と声が漏れそうになるが少女は何とかソレを押し止める。
 しかし件の青年はそのままパンを口には運ばず、慣れない手つきで二つに裂き、
その内のやや大きい方を自分に向かって差し出す。
「何も食ってねぇのはオメーも一緒だろ」
 そう言っていつも通りの、剣呑な視線で自分を見据えてくる。
「……ッ!」
 彼の手で二つに分かれたメロンパンの片方を受け取りながら、
少女は本当に久しぶりに、その晴れやかな笑顔を青年に覗かせる。
 そのまま互いにパンを口元に運びながら、玄関の方へと足を向ける。
 いつもどおり、いつもの歩調で。
 学生鞄の代わりに、胸いっぱいの決意を持って。
「結構イケるな、コレ」
「当たり前でしょ。私のとっておきの最後の一個なんだから」
 そう。
 美味しかった。
 今まで数え切れないほど食べたメロンパンのどれよりも。
 半分になったこのメロンパンが。
 そのまま二人同時に最後の一切れを口に入れて咀嚼し、
少女は青年に己の決意を口にする。
「今度は、敗けない。私達が勝つ」
「上等だ」
 短く青年は少女にそう返し、穏やかな微笑をその口唇に浮かべる。
 そして開かれるドア。
 空条邸の大きな正門前に、ジョセフと花京院が立っている。
 爽やかに流れる初夏の空気の元。
 眩く輝く天空の太陽の下。
『スタンド使い』 の青年と “フレイムヘイズ” の少女は、
広大不偏なる 『世界』 への扉を開く!
 ソレは、一つの伝説の始まり。
 ソレは、永久(とわ)に鳴り響く生命の賛歌。
 その最初の一歩を、承太郎とシャナは同時に踏み出した。  



(さぁ……)
(さぁッ!)



“出発だッッ!!”


←To Be Continued……



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