暁 〜小説投稿サイト〜
一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第19話 暗夜に潜む者
[2/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
た服装をしたカタナ使いが、第二十二層で小さい男子のプレイヤーを人気のないところへ連れ込んで行ったって話よ」
「えっ……」
「それで、あたしはソラがターゲットにされてる、と思って第二十二層を走り回った。それでようやく見つけたから、殺られる前に殺ってやろうと思って……このザマね」
「…………そう、ですか」
 確かに、その噂通りの人物なら見知らぬ人に殺されかけても文句は言えないだろう。このプレイヤーが襲うのも無理はない。僕だって襲うまではいかないにしても、どこかの大きなギルドに伝えるぐらいはするかもしれない。
 しかし、それよりも問題なのは、そんな情報がどこかからか発信されているということだ。
 完全にガセネタなのは言うまでもないことだが、ガセネタだと知ってるのは僕自身と僕の人となりを知っているプレイヤーだけだ――逆に、僕と関わりのないプレイヤーは、その情報を本当のことだと思っているということになるのだ。
 僕の知らない誰かが僕のことを悪者だと思い込み、忌み嫌う。考えただけでゾッとする。
 ――とにかく、このプレイヤーの誤解を解かなければ話は進まない。
 僕は落ち着くために、一回深く息を吸ってから、
「えっと、あの、その情報嘘ですよ」
 僕の言葉に、また怪訝な顔をされる。
「少なくともその情報のプレイヤーは、僕じゃないです」
「その情報こそ嘘でしょ。これだけ情報と一致しといて、それは苦しいと思うけど」
「確かに……そうなんです、よね〜……」
 このプレイヤーは、完全に僕を知らない。完全に初対面だ。
 だから、情報通りに鵜呑みするのも仕方ないことだろう。
 しかし、どうしたら信じてもらえるのか。
 頭を悩ませていると、後ろにいるキリトが提案をする。
「ユウ、誤解を解くにはソラに会わせた方がいいんじゃないか? 話を聞く限り、このプレイヤーはソラの姉みたいだし、ソラから話を聞けば納得してくれるだろ」
「なるほどね! じゃあ、連れていこうか」
 キリトのナイスなアイデアを即行で賛成し、さっそく行動に移す。
「でも、本当に姉ちゃんかわかんないから一応縛ったままにしときますね」
 このまま移動していたら、こっちが誤解されそうだが、また殺されかけるのはもっと嫌だから辛抱してもらおう。
 相手は僕の言葉に反応することはなかったが、どんな返答があったにせよ、このまま連れて行くから関係ない。少しひどい気もするけど、許してもらいたい。
 木に括り付けていた方の縄を解いて、代わりに片手に巻きつける。そして、念のためにと彼女の両手をまとめて拘束している部分を掴む。これで簡単には逃げられないはずだ。いざとなったらキリトもいることだし、ひとまず大丈夫と言えるだろう。
「それじゃあ、行きますか」
 とりあえずこの場所から抜け出さないと。
 
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ