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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第四十三話 鈍足の艦隊だって時には役に立つのです。
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の狼狽の様子もどこか陽気で有り、まるでへたくそな三文芝居を見ているかのようである。これがかえって良かった。誰もが笑いをこらえ、事態の深刻さに伴う恐慌を回避できたからである。

「いいさ、中央は敵の蹂躙にまかせよう!!敵が通り過ぎたら、部隊を再編して敵の後ろをついていくとしよう」

 この判断は適切だった。少なくとも自軍に余計な出血を与えることをさけるという点では適切だった。しかし、敵のジョウカイ進撃を許してしまうということは、総司令部本隊を直撃させてしまうことになる。

* * * * *
 ビリデルリング元帥の主力艦隊3万隻が離脱するのを、シャロンは見逃さなかった。正面と右翼に対応しているのは残る敵の2万隻余りである。正面部隊と協力して押せば、敵に対して互角以上の優勢を発揮できるのではないか。

「司令官、敵の主力が正面戦線から離脱しました。おそらく第九艦隊を突破し、錠回進撃を行い、総司令部の背後に回り込むのではないでしょうか?」

 シャロンの言葉に、ビュコック中将はうなずいた。

「ふむ、貴官の言う通りだな。今から総司令部本隊の防衛に行くのでは、時間がかかりすぎる。では、こちらとしては敵の残存艦隊に圧力を加え、敵の後衛を襲うというやり方が手っ取り早いかな」
「おっしゃる通りだと思います」
「しかし、そうはいっても総司令部が手薄になる危険性は高いと思いますが」

 参謀長が疑問を口にした。その疑問を持つのはもっともだとシャロンは思ったが、あえて口を出さなかった。なんとなくだが司令官はすべて理解しているような気がしていたからである。

「心配はいらんと思う。正面の予備軍としてボロディンが控えておる。(誘導が完了した後、ボロディン艦隊はいったんビュンシェ艦隊と入れ替わり、予備隊となっていたのだ。)彼ならば戦局に柔軟に対応するじゃろう。それに、後ろの心配ばかりしておっては、正面の敵に攻め寄せることはできんぞ」

 参謀長は苦笑した。それは老人のたわごととバカにしたのではなく、後ろを気にしすぎる己の姿勢を顧みての事であった。

「その通りですな、では、全艦隊に攻勢の指示を出されますか?」
「うむ」

 ビュコックはうなずき、司令席から立ち上がった。

「全艦、正面の敵に接近、主砲を斉射しながら、突撃じゃ!!」

 ビュコック中将の正面突撃の策は、敵に対して損害を増すばかりのような気がするが、今回は小惑星帯がある。敵の砲撃は思ったほど当たらないだろうし、逆にこちらの砲撃を効果的に浴びせるには接近戦に持ち込むしかないのである。
 第五艦隊は小惑星帯を巧みにすり抜けながら、帝国軍の右側面前に進出し、隊列を整えて、一気に距離を詰めた。

「ファイヤー!!」

 ビュコックが右手を振り下ろした。1万数千
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