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第四十三話 鈍足の艦隊だって時には役に立つのです。
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 帝国軍本隊はグリンメルスハウゼン艦隊を残し、ヴァンフリート星域に吸い寄せられるようにして集められ、不完全ながらも、完成していた同盟軍の包囲体制に引きずり込まれていた。思ったほど被害が出ないのは、ヴァンフリート星域が小惑星帯の集合体であるため、双方の砲撃がそれら小惑星に阻まれて、効果を発揮できないためである。
 こうしたことから、ミュッケンベルガー大将は、いったん艦隊を後退させて、秩序を再編成し、あらためて進撃するようにビリデルリング元帥に意見具申した。

『やむをえんのう!!後退という文字は儂の中には存在せんのじゃが、今回はやむをえんか!!』

 ビリデルリング元帥はミュッケンベルガー大将の意見を採用し、艦隊を秩序をもって後退させようとした。

 この動きをいち早く察知したのは、第9艦隊のバール・ビュンシェ中将である。かれは帝国軍側面にいたため、正面部隊よりも早くこの動きに気付くことができた。バール・ビュンシェ中将は白人の40代のひげ面の茶色髪の指揮官である。ビュコック中将らに言わせるとやや陽気すぎる点があるが、当の本人はそれが艦隊の士気向上につながると思っているのであるから、認識の差というものは恐ろしい。
 前回のイゼルローン要塞攻防戦においては、一軍を率いて要塞に攻めかかったものの、たいした戦果を上げられずに帰還している。もっとも本人は「生きて帰れたぞ!!」と、それをいささかも気にしていなかったが。

「ようし!!全艦隊敵の側面に張り付け!!小惑星を盾にしながら接近し、近距離砲撃で削るぞぉ!!」

 中将の号令一下、横陣形で進出した第九艦隊は帝国軍の左側面に射撃を開始した。砲撃自体はあまり統制が取れているわけでもなく、小惑星帯に阻まれもしているため、効果はあまりなかったが、帝国軍にとっては心理的動揺は大きかった。すなわち敵が包囲網を縮めてきたと錯覚したのである。

「まずい!!」
「敵にすりつぶされるぞ!!」
「後退だ!!」
「後退しろぉ!!」

 各艦隊が恐慌をきたして下がろうとするのをビリデルリング元帥は叱咤激励した。

「バカ者!!よく目ん玉開けてみろ!!包囲しようとしているのは一部の艦隊じゃ!!他は動いておらんではないかッ!!むしろこれが好機じゃ!!!左側面の敵は横陣形、突破するのは容易ではないか!!全艦隊、時計回りに運動を開始せい!!」

 ビリデルリング元帥はこの機会を利用して、ジョウカイ進撃を行い、同盟軍の後背に出ようとしたのである。だが、敵に察知されないよう、一部をもって正面と右翼に手当てさせ、主力3万隻余りをさっと縦陣形に編成すると、どっと左翼に向けて押し出させた。左翼に展開するのは、先ほどの同盟軍第九艦隊である。

「しまったぁ!!!」

 バール・ビュンシェ中将は狼狽した。そ
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