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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第9話『──ごめんな』
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 W−−『キミを守れるくらい強くなるまで 待っていてほしい』 そう言ったボクは キミの前から姿を消した。−−W








       ◇ ◆ ◇







「──っ!」

 違う。
 違うだろ。
 こんな筈ない。

 辛い思いをしてまで顔も知らない誰かを守って、数多の人々の命を救った彼女に与えられる報酬が、こんな酷く悲しいモノであって良い筈がない。
 怖い思いをしてまで関係の無い幸せを守って、幾多の人々の未来を救った彼女に与えられる対価が、こんな惨たらしいモノであって良い筈がない。

 彼女に与えられるのは笑顔である筈だ。彼女に与えられるのは未来である筈だ。断じて、このような理想と程遠い絶望と後悔である筈がない。このような人間の醜い部分を見せられる事であって良い筈がない。
『殺せ』だと?何を言っている。自分達を文字どおり命懸けで救ってくれた彼女を、奴らは無情にも『殺せ』と言ったのか?

 なんでそうなる、彼女は人間に仇なしてなどいない。人類の味方だ、何故そんなことも分からない。

「死んじまえ!死んじまえぇっ!」

「突っ立ってんじゃねぇよっ!仕事だろうが対魔傭兵(テメェ)っ!」

 腕の中でビクンと小さくなるスィーラを庇うように、少女を隠して人々と相対する。勿論、彼女を殺すつもりなどある筈がない。寧ろ、理不尽にも程がある言葉を後から後から喚き立てる人々に対する小さな怒りが、ジークの矮小な心を侵蝕していく。
 ギリギリと歯?みし、右手に僅かな力を込める。半ば無意識に魔力を全身に通し、背に掛けた(ファナトシオルグス)に手を伸ばし──

「……そいつは許可できねぇぜ。ジークよ」

 ──(アスヴィシシャス)が、向けられる。

「ゲイン……っ!」

「俺達はあくまでも『人間の味方』だ。いくらその子が良い子だからって、その子が魔族で、人間がその子を受け入れない限り、対魔傭兵(おれら)に殺す以外の道はない。……幾らテメェが『特例』だからって、そいつは外せねぇな」

対魔傭兵(リ・メイカー)』は基本的に人間を守護し、魔族を狩る人類の守護者である。
 その起源は窮地に陥った人類が立ち上げた対人外用の最終兵器なのだから当然といえば当然なのだが、その一員となる為には特殊な試験−−というよりは、訓練を行う必要がある。
 筋力強化や魔力操作訓練は勿論の事ではあるのだが、それに関しては試験後に徹底して強化していく。が、元々のとある素養を強化し、規定のラインを越えねば入団し、訓練すらする事が出来ない。

 とある素養というものは、本人特有の戦闘用・非戦闘用を問わず、先天性の特殊能力──『異能』の保持である。

 異能とは人間だけでなく、この人間が住む世
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